研究課題/領域番号 |
21H01707
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 隆之 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (80208800)
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研究分担者 |
白石 康浩 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (70343259)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 次亜塩素酸 / 金属ナノ粒子 / 半導体光触媒 / 塩水 / 空気 |
研究実績の概要 |
太陽光エネルギーにより、常温・常圧下、塩水と空気を原料として次亜塩素酸を合成する新光触媒を開発する。プラズモン金属ナノ粒子/含塩素半導体からなる相界面への可視光照射により、金属ナノ粒子上に生成したホットホールを含塩素半導体に注入する。ホールによる骨格塩素イオンの酸化と、溶液内塩素イオンによる骨格塩素イオンの補填を連続的に進め、次亜塩素酸を効率よく合成する革新的光触媒を開発する。これらの研究を通して、持続可能エネルギーにより、入手容易な塩水と空気から殺菌剤・消毒剤として不可欠な次亜塩素酸を簡便に合成する新技術の開発を目指す。 2022年度は、Auナノ粒子を担持したAgCl半導体粉末(Au/AgCl触媒)について検討した。可視光励起による効率のよいホットホール注入には、強固なAu/AgCl接合界面を形成させる必要がある。Au前駆体をAgCl粉末に吸着させ、管状炉内で焼成する析出沈殿法によりAu/AgCl触媒を合成した。焼成温度、焼成時間、Au担持量などの各種パラメータを最適化して高活性触媒を合成した。本触媒は太陽エネルギー変換効率0.14%以上で塩水と空気から次亜塩素酸を生成させることが可能であり、目標値であった天然植物の光合成における変換効率(0.1%)を上回ることが可能であった。各種反応実験、電気化学・光電気化学測定、ならびに表面分析測定にもとづいて光触媒メカニズムの裏付けを行い、論文を完成させた。現在論文を投稿中であり、順調に研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
析出沈殿法により合成したAu/AgCl光触媒に関する反応実験、メカニズム解析を全て終え、投稿論文を完成させた。次年度の課題にもすでに着手しており、今後の研究課題を順調にクリアできる感触を得ている。それゆえ区分2に該当すると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は「析出沈殿法」により合成したAu/AgClについて研究した。この方法は、Au前駆体をAgCl粉末に吸着させ、400℃程度で焼成する必要がある。新たに我々は、「マイクロ波加熱法」を開発している。本方法は、AgCl粉末とAu前駆体をエチレングリコールに加えてマイクロ波を照射する方法であるが、小さなAu粒子を多量にAgCl上に担持することが可能であり、さらなる高活性化が可能であることを見出している。本方法にもとづき、高活性合金ナノ粒子の担持などの課題について引き続き研究を進める。
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