研究課題/領域番号 |
21H01728
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
亀井 謙一郎 京都大学, 高等研究院, 准教授 (00588262)
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研究分担者 |
平井 義和 京都大学, 工学研究科, 講師 (40452271)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒト多能性幹細胞 / 肝臓 / 小腸 / 分化誘導 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
研究実績の概要 |
本研究では、生体内におけるヒトの生理学的・病理学的状態の再現するために、ヒト多能性幹細胞からより機能的な目的組織へと分化誘導することができる手法の開発と、そのBoC内での培養に取り組んだ。 当該機関では特に肝臓組織の高機能化に取り組んだ。ヒト多能性幹細胞から肝組織分化誘導過程中における物理的な環境因子がより高機能な肝組織を獲得するために必要な因子であると考え、細胞への伸展刺激や温度刺激などを印加し、その機能性を評価した。その結果、伸展刺激・温度刺激の双方において肝機能が増強していることが確認できた。特に、温度刺激においては、ヒト体内における肝臓温度が39℃付近であることからその環境下で分化誘導を行い、従来の細胞培養温度である37℃で分化誘導したものと機能性の比較実験を行った(図)。その結果、39℃で分化誘導した細胞において、肝臓活性(CYP3A4などの代謝酵素、アルブミン産生、インドシアニングリーンなどの薬剤取込と排出)などが顕著に向上していることが確認できた。一方で、AFPなどの幼熟肝細胞マーカーの発現は減少していることが確認できた。また、RNAシーケンス法(RNA-seq)による遺伝子発現解析を行ったところ、39℃培養による細胞外マトリックスタンパク質のリモデリングが起きていることが予想され、免疫細胞染色を行ったところ、コラーゲンⅠA・ⅣAの発現が顕著に増加していることが確認できた。本成果で得られた肝臓細胞は、生理学的・病理学的状態を再現するために有用である。 また、BoC内で培養した肝細胞の疾患モデルを作成するために、炎症誘引物質を添加し、炎症性サイトカイン(TNF-α)や一酸化窒素(NO)などの放出挙動を評価した。現在は、組織連結と組織機能、及び炎症反応の関連性についてBoCを用いて解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、生体内におけるヒトの生理学的・病理学的状態の再現するために、ヒト多能性幹細胞からより機能的な目的組織へと分化誘導することができる手法の開発と、そのBoC内での培養に取り組んだ。 当該機関では特に肝臓組織の高機能化に取り組んだ。ヒト多能性幹細胞から肝組織分化誘導過程中における物理的な環境因子がより高機能な肝組織を獲得するために必要な因子であると考え、細胞への伸展刺激や温度刺激などを印加し、その機能性を評価した。その結果、伸展刺激・温度刺激の双方において肝機能が増強していることが確認できた。特に、温度刺激においては、ヒト体内における肝臓温度が39℃付近であることからその環境下で分化誘導を行い、従来の細胞培養温度である37℃で分化誘導したものと機能性の比較実験を行った(図)。その結果、39℃で分化誘導した細胞において、肝臓活性(CYP3A4などの代謝酵素、アルブミン産生、インドシアニングリーンなどの薬剤取込と排出)などが顕著に向上していることが確認できた。一方で、AFPなどの幼熟肝細胞マーカーの発現は減少していることが確認できた。また、RNAシーケンス法(RNA-seq)による遺伝子発現解析を行ったところ、39℃培養による細胞外マトリックスタンパク質のリモデリングが起きていることが予想され、免疫細胞染色を行ったところ、コラーゲンⅠA・ⅣAの発現が顕著に増加していることが確認できた。本成果で得られた肝臓細胞は、生理学的・病理学的状態を再現するために有用である。 また、BoC内で培養した腸肝連関の非アルコール性脂肪性肝疾患を作成するために、小腸側にリポポリ多糖を炎症誘引物質として添加し、炎症性サイトカイン(TNF-α)や一酸化窒素(NO)などの放出挙動を評価した。現在は、組織連結と組織機能、及び炎症反応の関連性についてBoCを用いて解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度で開発しているBoC内で培養した腸肝連関の非アルコール性脂肪性肝疾患をより進展させる。小腸側にリポポリ多糖を炎症誘引物質として添加し、炎症性サイトカイン(TNF-α)や一酸化窒素(NO)などの放出挙動をイメージングだけでなくRNA-seqや質量分析等を用いて、組織連結と組織機能、及び炎症反応の関連性を明らかにするための解析を行っている。
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