研究課題/領域番号 |
21H01738
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北尾 岳史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70830769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多孔性金属錯体 / 多環芳香族炭化水素 / ホストゲスト / グラフェンナノリボン |
研究実績の概要 |
前年度に、ジルコニウムと4,4'-ビフェニルジカルボン酸からなるMOFの一次元細孔を重合反応場として用いることで、ポリアセンの前駆体となる高分子を合成することに成功した。今年度は、前駆体をポリアセンへ変換するための実験を行った。加熱温度・時間、ガス雰囲気を種々検討することで、前駆体高分子からポリアセンへの変換に成功した。各種分光的手法によってポリアセンの構造を解析したところ,長いものではベンゼン環が数十個以上連結していることが示唆され(平均個数19)、これまでの最長記録を大幅に更新することができた。さらに、それらの安定性や磁性の一端を明らかにすることができた。興味深いことに、XPS測定の結果、ポリアセンは粒子表面は酸化しているものの、内部は比較的安定に存在していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の作製手法では合成が困難であったポリアセン合成に成功し、その物性の一端を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ポリアセンは、ジグザグエッジに不対電子が現れるビラジカル状態を示すことが理論予測されている。今回、MOF鋳型法によってバルク量のポリアセンが合成できたことから、今後は、温度可変ESR測定等を行うことで、ポリアセンの磁性の解明に取り組む。また、MOFの種類や反応条件を検討することで、物性変調に必要なポリアセンの長さ制御も可能になると考えられる。
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