研究課題
本研究では,ゼオライトの細孔内に0-3次元ナノカーボンを生成させ,かつ,それらをゼオライトフレームワーク内に制約することで,多様な機能性を発現するナノカーボン-ゼオライト複合体群を創製することを目的とし,以下の①および②に取り組んできた。① ゼオライトのケージ型細孔空間を反応場とするship-in-a-bottle合成によって,0次元ナノカーボン(0-NC)を生成させ,ケージ間をつなぐネック細孔による隔離効果により,0-NC間の接触による消光を防止する。これによって0-NCを高濃度で配置することを可能とし,高輝度な固体蛍光体を開発する。② 1次元または3次元細孔を有するゼオライト内に,1次元または3次元ナノカーボン(1-NC/3-NC)を制約した1-NC/3-NC-ゼオライト複合体創製についての検討を行い,新規半導体や黒体放射発光素子の開発指針を確立することを目指す。2023年度は,主に②について計算科学的手法による検討を行った。種々の鋳型ゼオライトのうち,ITW,MTF,NSI,RWR型については,C2分子を細孔内に制約させたところ,カルビンが安定に生成したが,ABW,APC,LAU,RTE型では,C2分子が細孔壁と反応し,カルビンが生成しないことが分かった。しかし,RTEおよびAPC型ゼオライトについては,C2分子の反応熱による系の温度上昇を抑制し,系を冷却するならば,カルビンが安定に生成されることが分かった。また,ITWおよびAPC型ゼオライト細孔内における無限長カルビンは,真空中(直線構造)とは異なり,リップル構造となった。そこで,直線およびリップル構造を持つカルビンのバンドギャップを計算したところ,約0.1 eVの差が生じることが明らかとなった。これは,細孔内の制約効果によるものであり,ゼオライトの構造によってカルビンの物性を制御できることを示唆する結果と言える。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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