研究課題/領域番号 |
21H01762
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
草田 康平 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50741857)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハイエントロピー / ナノ合金 / 多元素 / 触媒 / 貴金属 |
研究実績の概要 |
本提案では、多変量解析を用いた効率的な材料探索手法を基軸として、5元素以上が等モル比程度で混合した新しい合金種であるハイエントロピー合金(High-entropy alloy: HEA)ナノ粒子の革新的触媒開発に挑戦する。さらに、前人未到の20種類以上の元素が原子レベルで混ざりあった超ハイエントロピー合金(Ultra HEA: UHEA)ナノ粒子の実現を目指す。本研究開発により、高活性と高耐久性を有した触媒の開発や、従来のナノ合金では達成されなかった複雑な反応ステップを介する高難度反応を促進する触媒開発が行えると期待される。 本年度は研究代表者が既に開発した、Ru、Rh、Pd、Ir、Ptの5元素から成る白金族HEAナノ合金(PGM-HEA)が高活性を示している水素発生反応を用いて、多変量解析を用いたPGM-HEA 触媒開発に着手した。具体的な方法としては、まず乱数により金属組成を振ったPGM-HEAを合成し、同定・触媒活性評価を行った。得られた結果を用いて、触媒活性に対してどのような因子が影響を与えているのかを、組成・粒径・合成条件等、実験で得られる数値をパラメータ化したものを説明変数とし、触媒活性を目的変数として、重回帰分析や主成分分析を通して、最適な構造を有するHEA触媒の開発を進めた。また、理論計算と異なり、実験ではデータ点が多量に取得できないため、少数データから逐次分析を行い、どの程度のデータ数、またはどのような手法でより信憑性のある解が得られるかを客観的に調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、様々な金属組成のPGM-HEA触媒の合成法の確立に成功し、多数のPGM-HEA触媒を合成するとともに、その水素発生反応における触媒活性を評価した。また、得られた触媒の結晶構造や電子状態を詳細に調べることで、未知の材料である多元素ナノ合金の特性が少しづつ明らかとなってきた。得られた成果は論文として投稿し、現在リバイス中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は初年度に合成・評価した結果を踏まえて多変量解析を進め、引き続き高活性触媒の開発を行っていく。また、得られた結果を用いて、触媒活性に対してどのような因子が影響を与えているのかを、重回帰分析や主成分分析を通して考察し、最適なHEA 触媒が得られた後は、触媒メカニズムを解明するため、オペランド分光実験などを軸に解析する。得られた結果は再び触媒設計に活用し、新たな元素を加える等改良を重ね、実験を基に多変量解析を用いた触媒開発手法の基盤を築く。 さらに、上記計画と並行して、元素20 種以上が原子レベルで混合したUHEA ナノ粒子の合成に取り組む。よい試料が得られた場合、多元素且つナノ粒子であるため、粒子一つに含まれる各構成元素の原子数が少なく、分析も困難であることが予想されるが、放射光を用いたX 線回折やX 線吸収分光、X 線光電子分光、原子分解能走査透過型電子顕微鏡など多様な最先端分析手法を用いて、その結晶構造や電子状態を詳細に解析する。
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