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2022 年度 実績報告書

DNAオリガミ分子機械を活用した生体分子の超高感度検出法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H01774
研究機関関西大学

研究代表者

葛谷 明紀  関西大学, 化学生命工学部, 教授 (00456154)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードDNAオリガミ / 人工抗体 / 発光タンパク質 / BRET / FRET
研究実績の概要

本研究課題は今日の医療分野で広く利用されている「抗体分子」(特にIgG抗体)を模倣し、さらに高度な機能性を付与した「人工抗体」を、タンパク質以外を使用 して構築することを目的とする。そのために、DNA二重らせんを束ねて望みのナノ構造体を構築する技術である「DNAオリガミ法」を用いて、研究代表者が世界に 先駆けて独自に発表した「動く」ことで機能する「DNAオリガミ分子機械」を人工抗体の本体部として使用し、さらにこの分子機械の構造変化を超解像イメージング法でリアルタイム観察することにより、生体分子を一分子レベルで検出することができる超高感度検出法を開発することをめざしている。本年度は昨年度新たに見いだした1. DNAを足場に活用した生物発光共鳴エネルギー移動/蛍光共鳴エネルギー移動複合システムについてより詳細に検討し、2. 蛍光修飾したDNAオリガミの顕微鏡観察、についても引き続き検討を行った。その結果、1. これまでに実現していた緑色蛍光色素を利用した青色→緑色の発光色変調に加えて、緑色蛍光色素から赤色蛍光色素へのフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を活用して、鮮明な赤色への色調変調に成功した。さらに、DNA末端で再構成した発光タンパク質を分子内単分子励起源として、複数の同種蛍光色素間のFRETを介して、本来エネルギー移動が起こりえない長距離までエネルギーを伝送することにも成功した。2. については、ガラス基板上に固定化したDNAオリガミ構造体を原子間力顕微鏡で明瞭に可視化することに成功し、修飾した蛍光色素からの蛍光も観察することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

DNAを足場に活用した生物発光エネルギー移動システムについて、複数の蛍光色素を介したエネルギー伝送系の構築まで成功しており、昨年に引き続きこの項目については、当初計画以上の成果が得られている。DNAオリガミ分子機械の超解像観察についても、ガラス基板上に固定化したDNAオリガミを原子間力顕微鏡で明瞭に観察することに成功している。

今後の研究の推進方策

DNAを足場に活用した生物発光エネルギー移動システムについて、発光タンパク質を分子内単分子励起源としたエネルギー伝送系についてより詳細に検討し、複数のアクセプターへの伝送路の切り替えや、逆に複数の励起源からのエネルギー集積系などを構築する。またDNAオリガミ分子機械の超解像観察についても、これまでの取り組みを継続し、ガラス基板上に固定化したDNAオリガミ分子機械について、原子間力顕微鏡と全反射蛍光顕微鏡でそれぞれ観察することによ り、DNAオリガミ分子機械の蛍光顕微鏡観察の基礎的技術を早期に確立することをめざす。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] スイス連邦工科大学チューリッヒ校(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      スイス連邦工科大学チューリッヒ校
  • [学会発表] 分子ロボットの部材としてのDNA2023

    • 著者名/発表者名
      葛谷明紀
    • 学会等名
      CBI学会 第2回分子ロボット倫理研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 発光タンパク質を分子内励起光源とした効率的な分子内エネルギー伝送2023

    • 著者名/発表者名
      南出悠貴、谷本晃一、仁木智哉、田花汐理、高野史章、葛谷明紀
    • 学会等名
      日本化学会 第103春季年会
  • [学会発表] DNAを足場とした生物発光共鳴エネルギー移動システムの精密解析2023

    • 著者名/発表者名
      谷本晃一、仁木智哉、南出悠貴、田花汐理、高野史章、葛谷明紀
    • 学会等名
      日本化学会 第103春季年会
  • [学会発表] DNA上でのBRET/FRETを活用した多色発光システム2022

    • 著者名/発表者名
      高野史章、南出悠貴、仁木智哉、葛谷明紀
    • 学会等名
      第32回バイオ・高分子シンポジウム
  • [学会発表] DNAを足場に利用したマルチカラー生物発光素子の開発2022

    • 著者名/発表者名
      高野史章、南出悠貴、仁木智哉、田花汐理、葛谷明紀
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [学会発表] 単分子励起光源を利用した分子内エネルギー移動2022

    • 著者名/発表者名
      南出悠貴、高野史章、谷本晃一、葛谷明紀
    • 学会等名
      第16回バイオ関連化学シンポジウム
  • [図書] Molecular Robotics, An Introduction, Satoshi Murata, Ed.2022

    • 著者名/発表者名
      Akinori Kuzuya
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      Springer Singapore
    • ISBN
      978-981-19-3986-0
  • [備考] 関西大学 化学生命工学部 知能分子学研究室

    • URL

      https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/mol-mach/

  • [産業財産権] アミダイトモノマー2022

    • 発明者名
      葛谷明紀, 栗本寛也
    • 権利者名
      関西大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2022-079640

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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