研究課題/領域番号 |
21H01777
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桑野 博喜 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50361118)
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研究分担者 |
LE VANMINH 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (60765098)
小野 崇人 東北大学, 工学研究科, 教授 (90282095)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 集束イオンビーム / MEMS / イオン液体 |
研究実績の概要 |
イオン源アレイの安定動作およびイオンビーム電流最大化について検討した。本イオン源のイオン放出メカニズムは以下のように考えられる。先端半径数10nmの極めて微細なエミッタ先端に強力な電界を印加した場合、その電界によりイオン液体に加わる引張力とイオン液体の表面張力が釣り合った時にTaylor coneが形成され、これによりイオン放出が為される。そこでエミッタ先端半径制御とイオン液体供給法がキー技術として重要となる。現状で本イオン源からのイオンビーム電流は1~2μAと必ずしも大きなものでは無い。この原因としてエミッタ先端半径制御およびエミッタ先端へのイオン液体の供給法が律速しておるものと考えた。エミッタ先端半径の違いによるエミッタ先端の電界計算により、エミッタ先端半径40nmが最適であることを明らかにした。そこで各種先端半径のエミッタをマイクロマシニングにより作製し、最適である先端半径40nmとなるようにマイクロファブリケーションを最適化した。本申請ではエミッタ先端におけるイオン供給法を従前の我々のものとは異なり、新しくイオン供給流路をエミッタ先端に向けて形成しマイクロチャンネルとすることを試みた。本申請では、半導体微細加工を用いたMEMS技術によりエミッタ裏側にイオン液体リザーバを設置し、マイクロチャンネルを通じてエミッタ先端に供給することによりエミッタからのイオンビーム電流発生を確認し、少なくとも数十分程度は安定にイオンビームをhさ出出来ることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、MEMS技術を用いてSi基板上に同時に100本程度のエミッタを形成し、その直下にイオン液体リザーバ、イオン液体リザーバからエミッタ先端へイオン液体を供給するマイクロチャンネルをそれぞれマイクロファブリケーションにより形成した。また、エミッター引き出し電力間に電圧を印加することによりイオンビーム電流を発生させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
イオン液体をイオン種として用いる場合、レンズ系においてて色収差は従来のGa集束イオンビームに比べ増大の可能性がある。その他の収差はGaンビームと比べ、エミッタ先端半径、アパチャー半径、光源、レンズ・光源間距離などいずれも二桁以上小さく高精度に作製することにより、収差抑圧が可能である。レンズ電極間の接合、接着、3次元的な位置合わせなど高精度化を実現するための最適なマイクロマシニング技術の開発によりエミッタも合わせて集積化した高精度レンズアレイを開発する。また、イオン放出のon‐offを行う スイッチング回路を作製し、エッチングなどの加工時間の制御を個々のイオン源ビームのon-offにより行う。
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