研究課題/領域番号 |
21H01778
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
磯崎 瑛宏 立命館大学, 理工学部, 准教授 (10732555)
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研究分担者 |
松阪 諭 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00372665)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イメージングフローサイトメトリー / がん細胞検出 / 細胞分取 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究では、血中循環腫瘍細胞 (Circulating tumor cells; CTC)の高感度検出および解析技術を構築することを目的とする。これにより、患者への身体的負担の少ない血液検査によるCTC検出を用いたがんモニタリング方法の構築を目指す。がんの転移はがん細胞が血流に乗って他の場所に移ることによって起こるため、血中のがん細胞「CTC」を血液検査によって検出できれば、がんの早期発見などが可能になる。さらにCTCは血中でクラスター化することもある。クラスター化したCTC「クラスターCTC」は、単一で存在するCTCと比較して転移能力が高いという報告もあり、血中のクラスターCTCの有無も有用な情報となる。しかし、CTCは1 mLの血液中に数個しか存在せず、クラスターCTCはさらに少ないと言われているため、検出の感度を上げることが大きな課題であった。本研究は、マイクロ流体技術と超高速イメージング技術を用いることでこの課題を解決することを目指している。 このような目的のもと、乳がん患者の血液サンプルを用いてイメージングフローサイトメトリーにてがん細胞検出実験を行った。実験の結果、予想通りCTCは非常に希少な細胞となり、検出される細胞のほとんどは白血球細胞となった。本実験において、白血球細胞は「ノイズ」なので、大量のノイズの中から信号(=CTC)を探し出すアルゴリズムを構築した。さらに、本研究で独自に取り入れているバイオマーカーPpIXを用いて、転移能が高いと考えられる約20個のCTC細胞を、患者血液サンプルから検出することに成功した。これらの結果は、本研究において重要な結果であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人為的設定したスパイク実験だけではなく、乳がん患者の血液サンプルを用いて実験を行い、かつ、患者サンプルからCTCを検出することに成功し、さらに、本研究で独自に提案しているバイオマーカーPpIXの有用性も示したことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロ流路内を流れる大きな細胞(CTC)やCTCクラスターが、小さな細胞と異なる振る舞いをすることが分かってきた。従って、次のステップへ進むためには細胞分取流路の解像が必須となる。具体的には、粘性流体を用いて細胞を整列させるとともに、分取を行うことを念頭に入れて、マイクロ流路の設計からやり直す。
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