研究実績の概要 |
2023年度は磁気構造生成理論に基づく磁気構造の解析をもとにした反強磁性体の異常ホール効果の探索に取り組み、実験グループとの共同研究によって新規異常ホール反強磁性体としてNbMnPを報告したほか[Kotegawa et al., npj Quantum Mater. 8, 56 (2023)]、結晶構造データベースと磁気構造生成理論、および第一原理計算を組み合わせた磁気構造の横断的な第一原理探索をもとに、異常ホール効果を発現する反強磁性体の探索を実施し、これまでに報告されている異常ホール反強磁性体がこの探索の枠組みで安定解として正しく求まることを確認するとともに、多くの候補物質を提案している[Nomoto et al., Phys. Rev. B 109, 094435 (2024)]。また、磁気構造データベースを利用した機械学習手法に基づく系統的な解析の実施に必要となる磁気構造の情報を、機械学習の特徴量として扱うことが可能な多次元ベクトルによって表現する理論手法を提案し、論文として出版している[Suzuki et al., Phys. Rev. B 108, 014403 (2023)]。この他、実験グループとの共同研究により、電子構造のトポロジカルな縮退構造が巨大な異常ネルンスト効果を引き起こすCo3Sn2S2の元素置換に伴う電子状態と物性の変化の解析に取り組み、Co3Sn2S2の元素置換に基づく異常ネルンスト係数の符号制御を提案し、その機構を明らかにしている[Noguchi et al., Nature Phys. 20, 254 (2024)]。
|