研究課題
本研究では、ルチル型酸化物RuO2のエピタキシャル薄膜において発見された歪み誘起超伝導の研究を深め、巨大エピタキシャル歪みが誘起する電子格子状態の変化の解明と新奇超伝導の学理の構築を目指している。本年度は、成膜条件を細かく調節することで、歪み量及び超伝導転移温度が成膜ごとに大きくばらつく原因を解決し、巨大エピタキシャル歪みの制御手法を確立することに成功した。具体的には、オゾンの実効的な供給量及び基板表面の状態に強く依存して歪み量が変化することを明らかにした。これにより、同じ基板方位(TiO2(110)面)及び膜厚(約30nm)で超伝導を示すRuO2薄膜と超伝導を示さないRuO2薄膜を作りわけられるようになり、X線吸収分光や共鳴非弾性X線散乱によって電子格子状態の変化を比較することが可能になった。
1: 当初の計画以上に進展している
巨大エピタキシャル歪みの制御手法を早期に確立することで、同じ基板方位及び膜厚でも超伝導を示す薄膜と示さない薄膜を作りわけられるようになり、当初の狙いを大きく広げてスペクトロスコピーの手法を組み合わせた超伝導研究が進展している。
同じ基板方位及び膜厚で超伝導を示す薄膜と示さない薄膜を作りわけられるようになったことで、スペクトロスコピーの手法も利用して電子格子状態の変化を比較し、超伝導発現のメカニズム解明を進める。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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