研究課題
本研究では、一般的な熱平衡状態では存在し得ない非平衡的な規則系あるいは不規則系の新奇超高Sn組成IV族混晶薄膜を創製し、その電子物性の解明・制御に基づいて、新世代固体素子発展に資する工学基盤の構築を目指す。Sn組成50%に達する超高Sn組成GeSnあるいはSiSn薄膜の創製、およびその結晶・電子物性を解明し、次世代ナノエレクトロニクスの発展に資する、新奇IV族混晶半導体薄膜の物質科学の深耕を図る。本年度得られた主な成果を記す。(1) 大格子定数GaSb(111)基板上へのSn組成52%のGeSn層を試みた。最適な化学洗浄法を検証後、分子線エピタキシー(MBE法)による膜厚15nmのGeSn層の成長を行った。反射高速電子線回折(RHEED)、X線回折(XRD)による評価の結果、Sn組成52%のGeSn層のエピタキシャル成長を示唆する結果が得られた。また、XRD逆格子空間マッピングからは、急峻な界面形成を示唆する膜厚フリンジも観測された。格子整合系の結晶成長によって、平衡固溶限界の50倍前後に達する超高Sn組成GeSn層のエピタキシャル成長の可能性を実証できた。(2)大格子定数InP(001)基板上において、MBEに比較して高速成長可能なスパッタリング法を用いた、Sn組成25%のGeSn混晶のエピタキシャル成長を試みた。MBE法よりも約4倍早い堆積速度の成長により、Sn析出を抑制した膜厚100nmの高Sn組成GeSn層のエピタキシャル成長を実証した。(3)スパッタリング法を用いて高速成長したSn組成25%のGeSn層のキャリア物性をHall効果測定によって評価した。MBE法より高温の170℃の成長でも、比較的低い1E19 cc.cm台の正孔密度を有するエピタキシャル層が形成できることがわかった。正孔生成の起源となる空孔欠陥形成を高温成長によって抑制できるためと推測される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Materials Science in Semiconductor Processing
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第29回電子デバイス界面テクノロジー研究会―材料・プロセス・デバイス特性の物理―予稿集
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http://alice.xtal.nagoya-u.ac.jp/nanoeledev/index.html