研究課題/領域番号 |
21H01812
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 真之 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (00362666)
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研究分担者 |
勝部 大樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (00831083)
稲見 栄一 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (40420418)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非接触原子間力顕微鏡 / 走査型トンネル顕微鏡 / 高速原子間力顕微鏡 / パルスレーザー堆積法 / 光触媒 / 金属酸化物 / TiO2 / アナターゼ |
研究実績の概要 |
(1)高速原子間力顕微鏡を用いた光触媒効果実験 高速原子間力顕微鏡を用いて光触媒効果に関して、構造の異なる二種類の脂質膜を用いた分解過程の観察も行った。続いて蛍光試薬を用いて、脂質が酸化すると生成されるという脂質ラジカルの発生についての実証実験を行った。その結果、光触媒基板上で脂質膜が分解する全過程の可視化し、さらにTiO2表面のナノ構造であるシングルステップとテラスには分解する速度に大きな違いが見られないことを見出した。TiO2上に展開した二種類の脂質膜の体積は時間とともに減少する様子が見られたが、分解速度には差が存在していることを発見した。蛍光測定においては紫外線を照射したものとしなかったものとでは、蛍光強度の上昇に有意な差が見られたため、脂質ラジカルの発生を実証した。観察された脂質膜の連鎖的分解反応が分解速度へ寄与していると考えている。 (2)高速原子間力顕微鏡測定用の金担持TiO2表面の実現 金を担持したTiO2の光触媒効果を調べるための高速原子間力顕微鏡測定用表面の開発を行った。蒸着条件を変えることで、ある程度のAu粒径の制御が可能になった。 (3)共同研究に向けた試料作製体制の構築 アナターゼTiO2表面の清浄化は国内外からの注目されており、海外の2グループと共同研究を進めることとなった。試料提供のために体制を整えた。海外への試料提供で問題となる規制対象について調査を行い、発送可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記以外の成果としては、(1)X線光電子分光によるルチルおよびアナターゼ表面のガス反応性のリアルタイム測定、(2)局所的な電子状態を調べることができる新規のAFMの開発、(3)機械学習を用いた熱ドリフト完全補正走査プログラムの開発、(7)電源ノイズ低減システムの開発、などを行った。
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今後の研究の推進方策 |
高速AFMによる光触媒材料に関しては、実験環境が整いつつあるので、さらに様々な材料観察を行う予定でいる。具体的には、TiO2のアナターゼ型とルチル型との反応性の違い、AuやPtで担持した表面の光触媒ダイナミクスの観察を行う。また、X線光電子分光によるルチルおよびアナターゼ表面のガス反応性のリアルタイム測定も引き続き行う。
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