基板表面に成長した原子層物質では表と裏が非対称である。このように空間反転対称性の破れた物質が超伝導状態になったときに生じるパリティ混成とよばれる現象を、極低温走査型トンネル顕微鏡(STM)を駆使して検証することを目指した。シリコン基板上に形成される原子層超伝導体の品質改善と、単層遷移金属ダイカルコゲナイド成膜用の真空装置の立ち上げを行ったほか、関連物質のSTM測定を行いながら測定・解析技術の向上を図った。その過程で、遷移金属ダイカルコゲナイドNbSe2単結晶において電荷密度波(電荷密度の長周期構造)が特徴的なドメイン構造を形成していることを発見し、約40年前の理論研究と合うことを見出した。
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