水の窓域を連続スペクトルでカバーし,且つナノジュール級の出力を持つ単一アト秒パルスを得る為に,キャリアエンベロープ位相 (CEP) が安定化された100ミリジュール級・数サイクル中赤外レーザーをDC-OPA法を用いて開発した. 希ガスとの非線形相互作用による自己位相変調効果を用いて 0.8 um 光の広帯域化を行い,その後,広帯域化された 0.8 um 光パルスの長波長と短波長成分による自己差周波発生 (DFG) により,パッシブにキャリアエンベロープ位相 (CEP) 安定化された広帯域中赤外シード光(1.2 - 2.2um) を得た.発生した広帯域中赤外シード光に対して音響光学素子 (AOPDF) により分散を付加しDC-OPA のシード光として使用した.付加する分散量については事前に数値シミュレーションにより最適値の予測を行い,そのパラメーターを AOPDF に入力している.広帯域な DC-OPA 増幅を実現する為,非線形結晶に BiBO Type-I を使用した,増幅ステージは 3 段により構成されており,BiBO 結晶の厚み及びポンプ強度は,増幅率及び帯域幅から最適な値を実験的に決定した.結果,1.2 um から 2.3 um 域の一オクターブに迫る広帯域な DC-OPA 増幅を実現することに成功した.また出力エネルギーとして 105 mJ が得られており,フーリエ限界パルス幅まで圧縮することで 10 テラワットを越すピークパワーを持つ数サイクルレーザーの実現に目処が立った.
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