研究実績の概要 |
水の窓域を連続スペクトルでカバーし,且つナノジュールの出力を持つ単一アト秒パルスを得る為に,キャリアエンベロープ位相 (CEP) が安定化された出力 100 mJクラスの数サイクル中赤外レーザーをDC-OPA法を用いて開発した. 昨年度実施したシングルポンプの BiBO DC-OPA の結果,サブ2サイクルのパルス幅を実現できるスペクトル増幅帯域を実現できたことから,今年度は得られた光パルスの諸特性(強度分布,集光性能,出力安定度,キャリアエンベロープ位相:CEP)の評価,及びパルス圧縮実験を行った.単一アト秒パルス発生において CEP の安定度が重要となることから,パルス圧縮器として大口径無水石英及びサファイヤ結晶の二つをテストし,CEP に外乱を与えずパルス圧縮を実現した.パルス圧縮の結果,中心波長 1.7 um においてパルス幅 10 fs 得ることに成功した.f-2f 干渉計を用いた CEP の評価実験において,シングルショット下での CEP 安定度 210 mrad rms を達成した.また M^2 ~ 1.2 であり良好な集光性能を持つことも確認された.今年度の研究実績により開発を完了したレーザースペックをまとめると以下となる.中心波長: 1.7 um, 出力エネルギー 102 mJ, M^2 ~1.2, パルス幅 10.6 fs (サブ2サイクル@1.7 um),ピークパワー: 10 TW, CEP安定度: 210 mrad rms.
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