研究課題
多状態多参照DMRG-XMS-CASPT2計算の解析的エネルギー核座標微分と非断熱結合定数の計算プログラムの確立に向けた理論開発を進めた。本年度は,その零次近似に相当するSA-DMRG-CASSCF計算の解析的エネルギー核座標微分法を開発に成功した。定式化および実装を達成し,テスト計算からその妥当性を確かめた。成果は論文として発表された。失活過程の速度定数を定量的に見積もるための手法の実装に関する研究を行った。本理論手法を用いた実験研究者との共同研究を実施した。本研究では,リン原子含有パイ分子の酸化効果による蛍光量子収率の違いを理論計算から明らかにす ることができた。計算では,ホスフィンおよびそのP=O型,チオフェン置換などの分子にチアして基底状態および光励起状態の電子状態計算を行い,その計算から得られた電子状態の情報か ら,本速度定数シュミレーションから輻射及び無輻射失活の速度定数を見積もった。その速度定数のシミュレーション結果から,実験で観測された蛍光量子収率 の置換効果を確認することができた。
2: おおむね順調に進展している
SA-DMRG-CASSCFの解析的微分の定式化および実装を達成した。失活過程の速度定数を計算する実装が実施され,共同研究を進めることができている。
微分コードの一部として非断熱結合(NAC)定数のプログラムも実装される。DMRG- SA-CASSCFの微分コード が完成したのち,二次摂動に よる電子相関補正XMS-CASPT2計算法へと繋げる。従来型XMS-CASPT2計算コードのプロトタ イプ実装(ShiozakiらJCP 2015)は,塩崎 との共同研究 により確立している。速度定数の計算法について新しい拡張を行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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