本研究において、光と分子振動が混成した振動ポラリトンと呼ばれる量子状態を対象に、従来のスペーサを利用せずキャビティ長を1~100μmにわたる広い範囲で調整できる新しい実験手法を提案した。さらに液晶分子の温度変化による相転移がポラリトン状態に及ぼす影響を解析し、ポラリトン状態が通常のバルク試料とは異なる配向分布を持つことが示唆された。さらに、有機分子試料における超短パルスを用いたポンププローブ計測を行い、有機分子試料において初めてポラリトン状態のダイナミクスの観測に成功した。これらの成果は未だ黎明期にある振動ポラリトンの分野において、新たな知見をもたらす重要な成果である。
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