現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(3-1) 高電子受容性の13族元素間単結合分子の電子状態制御と新反応 さまざまな縮環芳香族炭化水素を置換基として有するジボランの合成を検討しており、これまでに1-ナフチル基が導入されたジボランの合成を達成しているが、その反応性・光電子特性について現在詳細を調査中である。 ジアミノ置換Alアニオンを用いて、アルミニウム原子が3配位構造を保ったまま3原子のアルミニウムが連結したトリアルマンの合成も行っている。これまでにトリアルマンの中心Al原子上にEt基またはかさ高い2,4,6-(i-Pr)3C6H2基が置換している誘導体が得られている。Et置換誘導体はEt2Oの配位を受けているが、これが容易に解離して別の小分子との反応が進行することを見いだしているため、生成物の詳細な解析を検討している。2,4,6-(i-Pr)3C6H2基が置換している誘導体はルイス塩基に対する反応性が低いため、これの1電子還元反応により安定なラジカルアニオンを発生させる検討を行っている。 (3-2) 13族元素アニオンの特性解明と3重項状態の直接観測 ジアミノ置換AlアニオンのXPSスペクトルを測定したところ、Al(II),Al(III)化学種と比較して内殻電子のbinding energyは大きい値を示した。先に同様の解析を行ったアルキル置換Alアニオンと同様に、ジアミノ置換AlアニオンもAl(I)の電子状態を有することを解明したことになる。この結果については現在論文作成中である。 また、同じジアミノAlアニオンを酸塩化物と反応させることでアシル基が置換したアルミニウム化合物を得ることができている。この化合物は他のC=O/C=N二重結合と反応してアシル求核剤として作用することも見いだしている。これらの結果については論文投稿中である。
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