本研究の特色は以下の点にある。(i) 遷移金属を使用せず、安全かつ安価な酸化剤を用いて温和な条件で反応が進行する環境調和型システム、(ii) 豊富で低毒性なハロゲン化物イオンを用いた触媒システム、(iii) 近年盛んに研究されているヨウ素を用いた酸化システムをより酸化力の高い臭素に拡大し、キラル次亜ハロゲン酸塩触媒を開発した点である。本研究の発展により、従来の重金属酸化剤、レアメタル触媒、超原子価ヨウ素を用いた酸化的カップリング反応の問題点(危険性、低選択性、環境・元素戦略的問題等)を著しく軽減し、理想的な環境低負荷型酸化反応を可能にし、工業化においても非常に有利となることが期待される。
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