研究課題
新型コロナウイルスの流行によりその検査の重要性が増している。そこで、本研究ではPCR産物の迅速な検出のための新規なDNA補足チップの構築を目指す。DNAの固定化にはDNAの「呼吸(連続する数塩基の水素結合の開裂)」を利用し、基盤上の環状ナフタレンジイミド(cNDI)でDNA-cNDIによるカテナン構造を形成することで2本鎖DNAのみを補足する。cNDIと2本鎖DNAとの相互作用解析は等温滴定カロリメトリーによる物理化学測定やストップトフロー分光光度計による速度論解析を行う。DNA-cNDIによるカテナン構造の安定性、複合体挙動は学術的観点からも興味深い。FNDなどの「開いた」インターカレータではなく、「閉じた」インターカレータが2本鎖DNAとカテナン構造を形成した際に、2本鎖DNAからインターカレータの会合・解離は可逆的に行われるが、「閉じた」インターカレータであるcNDIの場合、2本鎖DNAからの解離は不可逆的になるのかどうかは非常に興味深く、研究課題の核心をなす学術的「問い」となる。ターゲットはコロナウイルスから増幅したPCR産物とし、10サイクル程度のPCRから検出まで10分程度、RNAの逆転写反応を含めても60分以内で検出することを目指した。昨年度までに、cNDI-gluの合成、およびコロナウイルス由来のRNAの逆転写産物に対して、PCRサイクル依存性と、PCRを10サイクルに固定したときの検出下限を算出した。本年度は、TRAPアッセイにより得られたテロメラーゼ伸長産物の検出についてRT-PCRによる検出下限と本システムでの検出下限を比較した。RT-PCRでは、10cells/uLで有意の検出が達成できたのに対し、電気化学的手法では2 cells/uLのHeLa細胞の検出に成功し、高感度にテロメラーゼ活性を検出できることを実証した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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