研究課題/領域番号 |
21H01968
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
梅村 知也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10312901)
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研究分担者 |
安井 隆雄 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00630584)
中嶋 秀 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10432858)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ナノワイヤ / レーザー脱離イオン化 / マトリックスフリー / 超薄層クロマトグラフィー / 酸化亜鉛 / MALDI / TLC |
研究実績の概要 |
本研究は、酸化亜鉛ナノワイヤによって創出される様々な機能を活用して、分離や精製、濃縮など分析に不可欠な化学操作を1枚のプレート上で行えるオンプレート型分離計測デバイスを開発し、臨床の現場でも実用可能な質量分析技術を確立することを目指している。本年度は、二官能性のホスホン酸誘導体を用いて酸化亜鉛ナノワイヤ表面の改質を図り、静電的な引力や斥力、また、疎水性相互作用によりナノワイヤプレート上で目的物質や共存物質を選択的にトラッピングしたり、脱離したりできることを実験的に検証した。また、新たな分離選択性の創出に関して、酸化亜鉛ナノワイヤ表面を10-カルボキシデシルホスホン酸(10-CDP)で化学修飾したTLCプレートを作製し、クロロホルム : メタノール : 水 = 65 : 25 : 4 (v/v/v)からなる展開溶媒を用いて3種類のリン脂質(PI: ホスファチジルイノシトール, PE: ホスファチジルエタノールアミン, PC: ホスファチジルコリン)の分離に成功した。さらに、そのナノワイヤプレート上で、マトリックス試薬を添加することなく、リン脂質のレーザー脱離イオン化質量分析(LDI-MS)に成功した。一方、導電性を有する酸化亜鉛ナノワイヤプレートはイメージング質量分析(IMS)の基板としても期待されており、マトリックスレスで凍結切片中の生体分子を効率よく検出するためのノウハウも蓄積した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ここまで酸化亜鉛ナノワイヤの表面改質技術のブラッシュアップを図るとともに、大気圧低温プラズマを利用した局所修飾技術や凍結乾燥方式の超微少量サンプルスポッティング法など、本研究を遂行する上で不可欠な要素技術の開発に目途が立ってきており、順調に研究は進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続き、酸化亜鉛ナノワイヤの表面改質技術のブラッシュアップに努めるとともに、分析対象や目的に応じたシステムの拡充を目指して、酸化亜鉛ナノワイヤプレート上での超薄層二次元TLC分離、及び、マトリックスフリーでのLDI-MSイメージングのための操作条件の最適化を本格的に進めていく。
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