ファインバブル(FB)発生法はトップダウン法とボトムアップ法の2種類に大別される。気泡の剪断により分割、そして収縮により生成したナノサイズのウルトラファインバブル(UFB)と、加圧溶解した気体を減圧することにより生成したUFBは同一だろうか?さらに、マイクロサイズのマイクロバブル(MB)やUFB存在下での過飽和過程は同一だろうか?というFB化学を理解して使いこなすための原理原則を解明する必要がある。また、消えてなくなるFB界面を新奇特殊反応場として活用できるか?さらに、導入・除去が容易な気体の関与する反応を次世代ものづくりに活用できるか?の問いに対して、界面化学とプロセス化学を深化させる必要がある。本研究課題では、代表的な発生法により生じたFBの物性と反応性を系統的に評価するとともに、消えてなくなる新奇特殊反応場を活用した反応開発、ならびにFBものづくりプロセスの確立を目的とした。 2021年度に、「1.FB化学を理解して使いこなすための原理原則」として、「1-1.各FB発生法におけるFBの物性評価」と「1-2.各FB発生法における反応性評価」に取り組み、MBとUFBの個数濃度とサイズ分布を定量化し、均一系光励起酸化反応と不均一系水素添加反応におけるFB効果を明らかにした。2022年度に「2.界面での有機合成:消えてなくなる新奇な特殊反応場」として、「2-1.FB界面で発生する短寿命活性種」と「2-2.FB界面選択的マイクロ波活性化反応の開発」に取り組み、反応装置の開発を終えたものの、想定した新奇特殊反応場への適用が達成できなかった。そのため、「3.フィンバブルグリーンものづくりプロセスの開発」として、「3-1.FBフロー手法による多相系フロー反応の深化」と「3-2.FBフロー手法の集積化によるグリーンものづくり」に取り組み、フェアリー化合物AHXの4段階合成を達成した。
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