研究課題/領域番号 |
21H01989
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
横澤 勉 神奈川大学, 工学部, 教授 (80182690)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 重縮合 / テレケリックポリマー / 可逆反応 / ポリカーボネート / ポリエーテルスルホン / 末端官能基化 |
研究実績の概要 |
重縮合でどちらかのモノマーを過剰に用いると、過剰に用いたモノマーがポリマー両末端に結合したテレケリックポリマーが生成すると一般的に考えられているが、実際は環状ポリマーが混入する。本研究では同様な重縮合で選択的にテレケリックポリマーだけが生成する合成手法の開発を目的とした。注目したのは可逆的結合生成反応の重縮合である。可逆反応であれば重合途中に生成した環状ポリマーは、過剰に加えたモノマーと反応してテレケリックポリマーが選択的に得られると期待される。今年度の研究実績は以下のとおりである。 (1)ジオールギ酸エステルとジアルキルカーボネートとの脱ギ酸アルキル重縮合において、どちらかのモノマーを過剰にした場合に環状ポリマーが生成せずに、過剰に 用いたモノマーがポリマー両末端に反応したポリマーが選択的に生成するかを検討した。その結果、ジオールギ酸エステルまたはジアルキルカーボネートのどちらを 過剰にした場合にも環状ポリマーは生成せずに選択的にテレケリックポリマーが得られた。特に同様なポリエステル合成と比較して、ポリカーボネート合成ではバルク重合が可能であり、ジオールギ酸エステル過剰下において分子量1万を超す両末端ヒドロキシ基のポリカーボネートを得ることができた。 (2)ビスフェノールジシリルエーテルとビス(4-フルオロフェニル)スルホンの重縮合におけるポリエーテルスルホンの合成において、前者のモノマー過剰時には炭酸カリウム、後者のモノマー過剰時においてはフッ化セシウムを塩基として用いると、それぞれ両末端がヒドロキシ基とフッ素のポリエーテルスルホンが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はポリエステル合成において可逆重縮合によって環状ポリマーを含まずにテレケリックポリマーが合成できることを明らかにできた。今年度は重縮合における可逆反応の重要性をポリカーボネートとポリエーテルスルホンの合成に広げることができ、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ポリカーボネートの合成において、ジオールギ酸エステルとジアルキルカーボネートの両モノマーを等量用いて、さらにカーボネート結合を持つ低分子化合物を加えて重合し、低分子化合物の持つ官能基を両末端に持つテレケリックポリカーボネートの合成を検討する。また、カーボネート結合を中央に持つポリマーを同様に加えて重合し、トリブロック共重合体の合成も検討する。
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