研究課題/領域番号 |
21H01994
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
宮 瑾 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 准教授 (30631759)
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研究分担者 |
松葉 豪 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (10378854)
石神 明 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 助教 (50877420)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゲル / 繊維 / ナノファイバー / マイクロフィルム |
研究実績の概要 |
(1) ポリジメチルアクリルアミド(PDMAA)ゲルおよびポリエチルアクリレート(PEA)ゲルに対して、UV-ES工程の各パラメータがゲル繊維の形状・繊維径、力学物性、機能に与える影響を明確にし、得られる繊維径は数十nmから数μmの範囲になるよう、UV-ES工程を最適化した。粘度200、300、400、500、600、700 mPa・sの半硬化ゲル反応液を使用し、粘度の影響を検討した。さらに、粘度が300および600 mPa・sの場合において、押出速度1、3、5、10、15 μl/minでの押出速度の影響を検討した。その他のパラメータとして印加電圧、ノズルからターゲットまでの距離、UV紫外線の強度、紡糸環境の温度および湿度の影響も検討した。結果は、直径0.2~4μmのPDMAAゲルと直径3~12μmのPEAゲルの繊維を作製した。FTIR測定によりC=C二重結合からC-C単結合への変換率を評価した結果、PDMAAゲルとPEAゲルの両方が95%以上の高いC=C変換率を示し、ゲル化がうまく行われたことが確認できた。 (2) ポリジメチルアクリルアミド(PDMAA)ゲルおよびポリエチルアクリレート(PEA)ゲルに対して不織布を作製し、引張試験によってその力学物性を評価した。巻取方向(繊維の配向方向)と垂直方向を比較した結果、巻取方向が高い強度と靭性を示し、一方で垂直方向が高い破断ひずみを示した。これにより、巻取方向が強靭であり、垂直方向がよく伸びるゲル不織布となることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに、選定した2種類のゲル、ポリジメチルアクリルアミド(PDMAA)ゲルおよびポリエチルアクリレート(PEA)ゲルに対して、UV-ES工程の各パラメータがゲル繊維の形状・繊維径、力学物性、機能に与える影響を明確にし、得られる繊維径は数十nmから数μmまでの範囲になるよう、UV-ES工程を最適化できた。さらに、これらの2種類のゲルを用いて不織布を作製し、引張試験によってその力学物性を評価することも成功した。今年度の結果は、今後のゲル繊維と不織布の特性制御、さらに構造と物性・機能の相関性の解明において非常に重要で基礎となる知見となる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究結果に基づき、UV-ES工程の各パラメータを最適化することで、ゲル繊維と不織布の特性制御を実現し、さらに構造と物性・機能の相関性を解明することを目指す。同時に、分子構造をデザインし、自己修復ゲルまたは可逆Diels-Alder反応の官能基を導入した自己修復ゲルの繊維を創成することについても継続的に検討を行う。
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