研究課題
基盤研究(B)
高分子鎖は一次元的な分子鎖形態を有するため、変形に対して極めて異方的な応答挙動を示すと考えられる。本研究では、結晶性高分子の代表であるアイソタクチックポリプロピレンや線状低密度ポリエチレン(LLDPE)に等方的な応力場であるバルジ変形やニ軸伸長変形を印加した際の分子鎖の変形挙動をその場広角X線回折(WAXD)測定および偏光高速度カメラ(PHC)観察に基づき評価した。降伏点以下では結晶格子の転移が、降伏点近傍からはさまざまな方向を有する「一方向の降伏挙動」が観測された。
高分子科学
LLDPEやナイロンをはじめとする結晶性高分子材料は、一般に弾性率が高く剛性があり、単体のみならず、ガラス繊維、炭素繊維や種々のフィラーとの複合材料として使用されている。また、安価なものも多いため、高分子材料分野において、量的に非常に大きな割合を占めている。さらに、熱や溶媒を使用することによって、再成形なども可能であるため、持続可能な社会を達成する上で重要な役割を果たしうる。したがって、本研究で得られた成果は、このような結晶性高分子のさらなる用途開発に極めて重要な知見となると期待される。