本研究はリグニン白色化メカニズムの解明と白色リグニンの機能評価および白色化技術に基づくリグニン抽出技術開発を目的とした。第一にリグニン白色化反応における白色度と反応条件の関係を評価し、反応系についてその理解の端緒となる実験結果を得た。第二に白色リグニン合成の高効率化とリグニン白色度と構造の相関評価から反応メカニズムを解明した。加えて白色リグニンの機能評価より絶縁性高分子や光機能材料としての用途可能性を解明した。更に白色リグニン合成技術に基づくリグニン含有組成物(例:植物) からの白色リグニンの合成 + 抽出を実施した。 具体的には下記項目について取り組んだ。 ①透過型電子顕微鏡や小角中性子散乱などによる評価から官能基に応じた白色リグニンの構造の違いを明らかにした。②修飾アルキル基の炭素数とリグニン修飾物白色度の相関から白色化には修飾する官能基に一定の嵩高さが必要であることを明らかしリグニンの白色化メカニズムを提案した。③メタノール分解によるカルバミン酸メチルとしての修飾物抽出を通じて白色リグニン中のリグニン成分を定量した。④白色リグニンの絶縁性や発光特性などを解明し絶縁性樹脂や光機能材料としての用途可能性を見出した。⑤各種工業リグニンにおける白色化反応実証および・反応溶媒などの最適化をおこない白色リグニン合成の実験系汎用化を実施した。⑥リグニン含有組成物を原料とした白色リグニンの合成を実施した。具体的には植物糖化残渣やおがくずなどからリグニンないし多糖を含有する白色ナノ粒子の合成に成功した。
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