本研究では、励起子解離により生成した電荷(電子)は、有機薄膜中で1ヶ月間以上に渡って極めて安定に保持されているという事実を初めて見出した。またさらに、長時間保持されている電荷は、有機薄膜中で空間的にも保持されていることを実験的に確認した。これらの事実は、従来不安定であると考えられていた有機薄膜中の電荷(ラジカル状態)は、有機分子の極性によって誘起される自発配向分極の形成により、その有機薄膜界面で安定に保持可能であるということを意味し、光電変換素子の高性能化だけでなく撮像素子やメモリ素子など、将来のIOT社会構築に必須となる様々なデバイスに応用できる可能性があり、得られた学術的意義は大きい。
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