研究実績の概要 |
本研究では、有機フォトクロミック結晶のフォトメカニカル現象のうち、特異な変形挙動の解明とフォトメカニカル現象への新規な材料設計を進めてきた。令和3年度には、これらの単純な動きとは異なり、異常なフォトメカニカル挙動の創出とその現象の解明に着手し、ジアリールエテン双晶における異常な屈曲挙動のメカニズム解明、ジアリールエテン結晶における光誘起高速ピーリング、9-メチルアントラセン結晶における特異な光反応と結晶サイズ変化、ジアリールベンゼンのナノ粒子作成とそのフォトクロミック挙動、ジアリールエテン結晶の特異な光誘起往復運動に取り組み、研究成果が得られた。令和4年度には、引き続きジアリールエテン結晶の特異な光誘起往復運動に関する研究に取り組み、新たな光誘起往復運動を起こす結晶が見つかった。さらに、分子構造の観点から、新しいジアリールエテンの結晶フォトメカニカル挙動についても検討し、屈曲速度と分子構造の関係について検討した。最終年度の令和5年度には、これまで見つかった特異な3段階光誘起屈曲挙動に着目し、そのメカニズムの解明に取り組んだ。さらに、結晶成長制御についても検討し、昇華による結晶化における基板と結晶成長の関係を明らかにし、効率の良い中空結晶の作製に成功した。これらの中空結晶のフォトメカニカル挙動についても検討した。さらに、ジアリールエテンだけでなく、アントラセン誘導体、2,5-ジスチリルピラジン、1,4-ジフェニレンジアクリル酸エステルの単結晶光異性化反応における特異なフォトメカニカル挙動についても明らかにした。以上のように、特異なフォトメカニカル挙動の創製とそのメカニズムの解明に取り組み、多くの研究成果が得られた。
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