研究課題/領域番号 |
21H02023
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
井口 史匡 日本大学, 工学部, 准教授 (00361113)
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研究分担者 |
清水 信 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60706836)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リチウムイオン導電体 / 弾性波 / ひずみ効果 / 活性化体積 / 全固体リチウムイオン二次電池 / 酸化物イオン導電体 |
研究実績の概要 |
申請者の異動に伴い2021年度は東北大と日本大学で分かれて研究を遂行せざる負えなくなり,研究の実施計画を変更し研究を行った。実施計画は既有装置の改良と力学因子の測定であり大きく3つに分けた。1つ目はレーザドップラー計を購入,in-situでひずみと導電率が同時計測可能な装置へのアップグレードとそれによる酸化物イオン導電体の力学因子の評価,2つ目は二軸で弾性波を導入可能となるよう弾性波を用いた実験装置の改良,3つ目はガーネット型,ペロブスカイト型,リン酸型等のリチウムイオン導電体に対して既有の装置を用いた力学因子の評価であった。 レーザドップラー振動計を用いたひずみの計測は既有の装置に追加しただけでは,振動変位に導波管の軸方向振動に加え,軸に垂直方向の大きな振動変位が加わり正確な評価が行えず,装置に用いた導波管の交換を余儀なくされたが最終的には,軸方向の弾性波により物質に加わるひずみのin-situ評価が行えるようになり,酸化物イオン導電体でのひずみ,導電率の同時計測を行うことができ力学因子の評価を行うことができた。また,2つ目の二軸で弾性波を導入する装置へのアップグレードについては導入される二軸ひずみの正確な評価には二軸に加え斜め方向の三軸のひずみを評価する必要があったため,今年度はそれを考慮したアップグレード方法の検討までを行った。 In-situ計測,二軸導入の双方について問題が生じ,その解決に時間を要したため3つ目のリチウムイオン導電体の力学因子の評価は弾性波では行わず,粉体プレスを用いた等方圧を用いた行った。ガーネット型,ペロブスカイト型,リン酸型の異なる結晶構造を持つ3種において最大250MPaの等方圧を印加し導電率を計測した結果,導電率の変化率は導電体毎に異なり,さらに結晶構造と導電経路の双方と関連があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北大と日本大学で研究を行わざる負えなかったことについては,それを考慮して研究計画を修正したはずであったが,それでも研究が計画通り進行しなかった部分と想定よりも進んだ部分に分かれた。 想定よりも進展しなかったのは装置関係のアップグレードに関する部分で,レーザドップラー振動計で計測した試料表面の振動変位が軸方向の弾性波による変位によるものだけではなく,軸に垂直方向の振動変位を含み想定よりも数十倍大きなひずみとして計測された。最終的には導波管の交換を含め全体の剛性を高めることで解決したが,その解決に時間を要した。また,二軸で弾性波を導入する際に,実施計画では二軸から導入される弾性波の合成波からひずみを算出することとしていたが,平面ひずみを検討した結果,それでは本研究の目的である結晶学的な力学因子の評価は行い難いことが分かった。そこでひずみの評価手法等に検討を加えた結果,二軸の装置実現までは至らなかった。以上より,本研究の進歩状況はやや遅れているとした。 しかし,想定よりも進んだ部分もあった。特にリチウムイオン導電体の力学因子については弾性波ではない時間変動しない等方圧を用いてではあるが,最大250MPaまでの圧力範囲における導電率の変化を評価し,力学因子の指標の一つである活性化体積の評価を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては東北大における研究が終了したので,日本大学においてのみ研究を行う体制とし改めて下記のことを行う。 ・試験装置の構築 2021年度に作製したレーザドップラー変位計と昇温機構を組み合わせたIn-situ計測装置を改良し,二軸で弾性波印加が可能な装置にアップ デートを行う。 ・リチウムイオン導電体の力学因子の測定 酸化物リチウムイオン導電体には様々な種類があるが,本申請ではガーネット型,ペロブスカイト型,リン酸型等数種類の多結晶体及び単結晶を対象として評価を行う。等方圧下で単結晶における力学因子を評価するとともに弾性波進行方向に対して並行方向の導電率を測定可能な挑戦的萌芽で作製した装置と,垂直方向に導電率が測定可能な本研究で作製する装置の双方を用いて力学的因子を評価する。また弾性波印加下におけるひず み,応力の状態を解析するため新たに有限要素法解析ソフトANSYS Mechanicalを購入またはレンタルし,その用途に充てる。 また,リチウムイオン導電体に加え,水素製造用の酸化物セルの主要材料として注目されているプロトン導電体についても,入手の目途が付いたため力学因子の評価対象に加え評価を行う予定である。
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