研究課題/領域番号 |
21H02040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
韓 礼元 東京大学, 教養学部, 特任教授 (20531172)
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研究分担者 |
中崎 城太郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (10444100)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 太陽電池 / ペロブスカイト / 高効率 |
研究実績の概要 |
本研究では、種々の光学計測および電気計測を駆使し、デバイスを構成する各層の構造の光学的特性、半導体接合特性、キャリア注入および輸送特性に対する影響を解明すると共に、ペロブスカイト太陽電池の高効率化へのアプローチを明らかにする。 本年度は、逆型デバイスのペロブスカイト層と電荷輸送層の界面におけるキャリア輸送特性を解析した。双極子モーメントが異なる3種類のドナー-アクセプター(D-A)分子を設計し、ペロブスカイトと電子輸送層の界面に導入した。これらの分子のカルボキシル基は、非結合のPb2+と相互作用し、結合を形成することがわかり、優れたパッシベーション効果を有することがわかった。また、紫外光電子エネルギースペクトル測定により、キャリア再結合サイトを減少させたことが判明した。フォトルミネッセンス分光測定において、キャリア寿命が延びた。さらに、これらのD-A分子の双極子モーメントによりペロブスカイト層と電子輸送層との間にビルトイン電界が形成された。このビルトイン電界の増強につれ、この界面における電子抽出効率が向上することが判明した。これらの双極子モーメントをもつD-A分子は、ペロブスカイト結晶の欠陥をパッシベーションするとともに、キャリア収集効率を向上させることができる。このように、界面欠陥のパッシベーションおよび電荷収集を兼ねる新しいアプローチを提供した。 さらに、正孔輸送層を有しない構造のスズペロブスカイト太陽電池を提案した。光電子収量分光法とX線光電子分光法の解析により、TCO電極層と接触しているスズペロブスカイトのバンドの曲がりによりホールが効率的に収集されていることがわかり、これを活かして変換効率を向上させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
双極子モーメントが異なる3種類のドナー-アクセプター(D-A)分子を設計し、ペロブスカイトと電子輸送層の界面に導入した。これらの分子のカルボキシル基は、非結合のPb2+と相互作用し、結合を形成することがわかり、優れたパッシベーション効果を有することがわかった。変換効率20%を得た。 さらに、正孔輸送層を有しない構造のスズペロブスカイト太陽電池を提案した。光電子収量分光法とX線光電子分光法の解析により、TCO電極層と接触しているスズペロブスカイトのバンドの曲がりによりホールが効率的に収集されていることがわかり、変換効率10.8%を得た。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、種々の測定方法を用い、パッシベーション方法及びメカニズムの解明を行う。また、光学計測および電気計測を駆使し、デバイス特性における構造の光学的特性、半導体接合特性を研究を行う予定である。
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