現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は1. 二酸化炭素還元評価装置の立ち上げ、および2. 当研究室ですでに報告している赤色光に応答し水を完全分解できる接合型複合光触媒による二酸化炭素還元評価を行った。 1. 当研究室で所持する水分解評価装置(閉鎖循環系光触媒反応評価装置)を二酸化炭素還元評価装置に改良(反応容器内への二酸化炭素導入経路の新設や二酸化炭素還元生成物定量のためのガスクロマトグラフの増設、接続)することによって従来測定していた水素、酸素、窒素に加え、二酸化炭素還元により生成する一酸化炭素やメタンなどを一系統で測定できるようにした。実際、問題なく稼働している。 2. 当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる金接合型複合光触媒(ロジウム酸亜鉛(ZRO)/金(Au)/バナジン酸ビスマス(BVO)、作製プロセスからZRO表面に助触媒としてのAuが担持されることから、以下Au/ZRO/Au/BVOと記載)の水分解活性が最大となるZRO, Au, BVO比を実験的に求め、水分解活性が最大となったAu/ZRO/Au/BVOを用いて二酸化炭素還元評価を行った。その結果、波長700 nmの赤色光照射のもと、一酸化炭素の生成を確認できた。この評価試験は、二酸化炭素が溶存する蒸留水を用いて行っていることから、水を電子源に二酸化炭素を還元し有用エネルギー物質合成に成功した。 以上、ほぼ計画通りに進捗していることから、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究では、当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる金接合型複合光触媒(Au/ZRO/Au/BVO)を用いて水を電子源に二酸化炭素を還元し一酸化炭素の合成に成功した。一方で、現状では水素生成がメインであることからプロトンの還元でなく二酸化炭素還元が選択的に進行させることが必要となる。また、二酸化炭素還元による生成物も一酸化炭素、メタンに加え、ギ酸、ホルムアルデヒド、メタノールなど種々存在するため、生成物の選択的生成も求められる。これら選択性向上のためには還元反応側の助触媒の選定、探索が重要であり、まずは既往の研究を参考に、選択的なプロトン還元が進む白金(Pt)、二酸化炭素還元による一酸化炭素生成が進む金や銀(Ag)、メタン生成が進む銅(Cu)を助触媒として担持する。また、水の酸化活性向上も二酸化炭素還元活性向上に寄与するため、酸化反応側の助触媒、酸化コバルト系(CoOx)や酸化コバルト・リン系(CoPi)の担持も検討する。使用する母体の光触媒はAu/ZRO/Au/BVOに加え、当研究室ですでに報告している赤色光のもとで水を完全分解できる銀接合型複合光触媒ZRO/Ag/BVOであり、それらに助触媒を担持したX/ZRO/Ag/BVO, X/ZRO/Ag/BVO/Y, Au/ZRO/Au/BVO/Y(X = Pt, Ag, Cu, Y = CoOx, CoPi) の二酸化炭素還元を検討していく。また、同位体二酸化炭素(13CO2)、同位体水(H218O)を用いた二酸化炭素還元試験を行い、二酸化炭素由来の一酸化炭素は発生していること、また水が電子源であることを明らかにするため、13CO, 13CH4, 18O18Oの検出を行っていく。
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