研究課題/領域番号 |
21H02044
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
犬飼 潤治 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70245611)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | AEMFC / CARS / 水の定量 / 水の同定 / AEM / 振動分光 / Raman |
研究実績の概要 |
非白金系触媒を利用する次世代の燃料電池として、アニオン交換膜型燃料電池(AEMFC)の開発が進んでいる。アニオン交換膜(AEM)内部に存在する異なった水素結合をもつそれぞれの水分子を、申請者が開発した顕微光学系を備えたコヒーレントアンチストークスラマン散乱(CARS)分光装置(深さ分解能 1 um、時間分解能 0.5 s)を用いて解析することを目的とする。この情報を用いて、新しい膜の開発につなげる。 初年度は、レーザーを新たに選択し、光路系や燃料電池セルなどの装置の改良後、AEMFC定常発電中のAEMおよび水の分子振動をCARS分光によって測定した。空間分解能、時間分解能は、計画通りの値が得られている。本装置の改造により、当初の問題であったAEMの破損はなくなった。 放射光X線散乱や中性子凖弾性散乱、量子化学計算の結果もあわせて、CARSスペクトルより得られる水分子の伸縮振動ピークをデコンボリューションすることにより、AEM内部の水分子同定・定量を、世界で初めて可能とした。さらに、中性子線イメージングで得られた定常発電中AEMFC内部の液体水の分布を、CARS分光で得られたAEM内部の水分子の分布と合わせて解析した。 なお、CARSとともに、通常のRaman測定を並行して行っている。Raman測定は、電解質液の測定等、既存のデータとその解析結果が存在するために、当初計画より進んだデータ解析を行っている。 本研究の一部は、すでに、学会での口頭発表や、原著論文として公表している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画をすべて完了している。さらに、Raman測定を並行して行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
計画は順調に推進されている。今後も、申請書に沿った方向で、研究を進めていく。 CARS分光法に加えて、新たにRaman分光法を利用した研究を開始したため、双方の情報を合わせて、解析を進める計画でいる。
|