研究課題/領域番号 |
21H02046
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西 直哉 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10372567)
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研究分担者 |
作花 哲夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10196206)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イオン液体 / 液液界面 / 金属ナノ構造 / 卑金属 / 界面電荷移動 |
研究実績の概要 |
今年度は、イオン液体(IL)|油(O)界面におけるAlの還元析出に着目した。金属の還元反応において前駆体である金属イオンはAuCl_4^-やPtCl_4^2-などのように塩化物錯体を用いることが多く、錯体を安定させるためには過剰のCl^-を共存させる必要がある。IL中でそのような金属イオンを安定に存在させるためにはIL構成アニオンにCl^-を用いることが望ましく、融点の低い親水性ILであるC3OHmimClを用いた。また、Alの還元析出の反応過程でAl関連イオン種や塩化物イオンの界面移動、気体の発生が予想される。そこで、27Al NMR測定により、反応前後のO相に溶存しているAl関連イオン種の変化を調べた。また、ガス検知管を用いた測定により、発生気体の同定を行った。また、反応による生成が考えられるAlCl_3, iBuAlCl_2, iBu_2AlClについてトルエンへの溶解度を調べ、トルエン中での存在の可能性を検証した。これらの結果を基にIL|O界面におけるAlの還元析出機構を以下のように考察した。界面電子移動については、IL中のAlCl_4^-の還元とO中のiBu_2AlHの酸化が起こり、電子がOからILに移動する。この反応により、Alが析出し、水素ガスが発生する。また、iBu_2AlHの酸化により中間体としてiBu_2Al^+が生成する。界面イオン移動については、IL中のCl^-もしくはAlCl_4^-が、界面電子移動により発生したiBu_2Al^+によって熱力学的に促進されてILからOへイオン移動する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は大学院生の入国制限により遅れが生じたが、今年度は順調に研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
マグネシウムをイオン液体|油界面において還元析出させるための還元剤を精査する。マグネシウムナノ構造の非水液液界面における還元析出に挑戦する。アルミ・マグネシウム合金のナノ構造形成も検討する。
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