研究課題/領域番号 |
21H02057
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
遠藤 政幸 関西大学, 先端科学技術推進機構, 特別任命教授 (70335389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝子発現 / エピジェネティクス / DNAオリガミ / 高速原子間力顕微鏡 / 1分子観察 / ヌクレオソーム |
研究実績の概要 |
本研究では、遺伝子発現の制御に連動する配列化されたヌクレオソーム多量体の高次構造について、これらをDNAオリガミ構造体に集積し、DNAオリガミの持つ空間を使って、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)により動的な状態で一分子の解像度で可視化する技術を開発する。複数のヌクレオソームが結合した複合体を作成するため、6個あるいは12個のヌクレオソーム結合サイト間の距離を制御したDNA鎖を合成した。これら複数の結合サイトを持つDNA鎖を使い、ヒストン8量体を再構成した。また、これらを導入し観察するためのDNAオリガミ構造体を作製した。一方でヌクレオソームの安定化を図るため2本鎖DNAの複数のサイトを結合する手法を検討した。異なる配列を認識する2個のDNA結合分子(dCas9)をDNA鎖によってつなぎ、長鎖のDNA鎖内の任意の2箇所を結合する手法を開発した。 前年度に引き続き外部からの物理的な刺激による細胞内での遺伝子発現の操作について検討を行った。細胞は外部の細胞外マトリックスの硬軟に応答して細胞の形態変化とそれに伴った関連する遺伝子の発現が変化する。光に応答して剛直な直鎖状または軟化した形状に変化するDNAナノ構造体を開発し、これを細胞外マトリックスとして、光の波長に応答した細胞形態の観察を行い可逆的な伸縮変化の操作に成功した。可逆的なDNAナノ構造体の光操作に伴い細胞内部遺伝子群の発現を操作する手法を開発できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していたヌクレオソーム12量体の合成と収率向上に時間がかかっている。ヌクレオソーム4量体についてはDNAオリガミへの導入と高速AFM観察を行えている。配列化したヌクレオソーム12量体についてもDNAオリガミ空間に導入し、引き続き高速AFMにより動的な状態で可視化し測定する技術を開発する。
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今後の研究の推進方策 |
ヌクレオソーム12量体のDNAオリガミ空間への導入と高速AFMにより動的な状態で可視化し測定する技術を確立する。また、ヌクレオソーム多量体の安定化に寄与させる人工安定化分子(dCas9複合体)の導入を行う。このことによって、ヌクレオソームを配列化することでクロマチン構造の形態にどのような影響が出るのか、また、DNAやヒストンの修飾によってヌクレオソーム多量体の構造がどのように変化するか検討する。
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