研究課題
最終年度となる令和5年度では、昨年度までに実現した触媒的環化反応による生物活性分子の合成(分子合成)、ならびにがん組織への生物活性分子の触媒的複合化(分子複合化)を活用して、次の2つの系でマウス内での分子活性化による生体内での機能発現を試みた。(A)マウス内での固形がんに対する治療マウスに移植した固形がんに対して、報告者の人工金属酵素反応系を展開し、がんの抑制効果を検討した。すなわち、シアリル化糖鎖を持つ人工金属酵素でターゲティングできるHeLa細胞をマウスに生着し、チューブリン阻害剤であるコンブレタスタチンA-4天然物誘導体をホベイダ・グラブスのルテニウム触媒で現地合成することに成功した。この際、ホベイダ・グラブスのルテニウム触媒の構造を調節することで、血中内での触媒活性を著しく高めるとともに、がんで抗がん活性分子を触媒的に合成して副作用なく治療することができた。一方で、マウスに移植した固形がんで別のルテニウム触媒を駆使して、独自に開発した抗がん活性ペプチドを複合化させることにより、この場合にはたった1回の静脈注射により顕著にがん増殖を抑えることにも成功した。(B)マウス内でのがん転移における治療マウスでの腹腔内転移モデルを活用した転移過程において、人工金属酵素システムを用いて転移の抑制効果を評価した。すなわち、上記と同様にシアリル化糖鎖を持つ人工金属酵素でターゲティングできるHeLa細胞をマウス腹腔内に導入して転移モデルを作成した。その後、金触媒反応を活用して、接着阻害であるRGD関連ペプチドをマウス体内のHeLa細胞選択的に複合化することにより、副作用なく転移を阻害することに成功した。以上のように、世界で始めてがんで抗がん活性分子を触媒的に合成・複合化して副作用なく治療することに成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 6件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (62件) (うち国際学会 21件、 招待講演 17件) 図書 (1件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Tetrahedron Chem
巻: 9 ページ: 100058~100058
10.1016/j.tchem.2023.100058
Appl. Microbiol. Biotech.
巻: 108 ページ: 199
ACS Omega
巻: 9 ページ: 11969~11975
10.1021/acsomega.3c09761
Peptide Science 2022
巻: - ページ: 15-16
巻: - ページ: 65-68
巻: - ページ: 125-126
ChemBioChem, 24
巻: - ページ: e202200637
Pure and Applied Chemistry
巻: 95 ページ: 955~964
10.1515/pac-2023-0112
化学と工業「巻頭言」
巻: 76 ページ: 1
J. Biol. Chem.
巻: 299 ページ: 104905
Molecules
巻: 28 ページ: 5644
Organic Chemistry Frontiers
巻: 10 ページ: 5610~5615
10.1039/d3qo00742a
Nature Commun.
巻: 14 ページ: 5803
Chem. Sci.
巻: 14 ページ: 11033-11039
https://www.riken.jp/press/2023/20231220_1/index.html
https://www.riken.jp/press/2023/20230927_3/index.html