本研究で開発した糖鎖付加アルブミンデリバリーシステムと遷移金属触媒を活用することで、今後、がんに応じた治療分子群を生体内で自在に調製できる。1つの金属触媒反応で合成される様々な分子の薬効を、マウス内で直接評価することができる。さらに、抗がん活性物質をがんに複合化することで、薬理活性が増強され、効果が長時間持続することが期待できる。このように、がんの内在性酵素や抗体に頼らず、(1)これまで副作用のために使用できなかった薬剤を生体内金属触媒反応により再び見直し、(2)薬剤の可能性を生体内で最大限に発揮させることがでる。薬剤開発における「分子ルネッサンス」と位置付けられる技術である。
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