研究課題
昨年度は各段階の最適化を実施し、グリコシル化反応以外の部分に関しては概ね良好な収率にまで3-exoSia型2糖誘導体の合成効率を向上させることができた。本年度は、さらなる改良を進めた。3糖構造や複合糖質構造など、広範な誘導体合成の基盤を確立するためには、やはりグリコシル化の効率改善が必須であった。これまでの検討では、本グリコシル化反応の収率は平均20%程度であったが、溶媒検討を進めたところ、アセトニトリルを用いた場合に平均40%程度まで向上することを見出した。また、このグリコシル化ではアクセプターの保護基をベンジル系保護基とする必要があった。依然として改善できていないが、この保護基を他の重要な官能基を損なうことなく除去する方法を見出すことができ、多糖体や複合糖質合成への道が拓けた。実際、これらの鍵手法を利用して、3糖体および糖脂質構造への合成を達成することができた。今後、阻害剤としての機能を向上させる合成基盤の確立に成功した。また、3-exoSia型2糖誘導体が、申請者らの分子設計概念の検証には、その生物活性だけでなく、シアリダーゼの基質となるかを確認することは重要である。昨年度から、上記新合成法を基盤として、この課題を解決できる3-exoSia誘導体の合成を検討し、確かにシアリダーゼ基質となり得ることを確認した。これにより、提案してきた阻害機構、すなわちこれらの阻害剤が基質ー遷移状態ハイブリットアナログであることを実証することに概ね成功した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Journal of the American Chemical Society
巻: 146 ページ: 2237~2247
10.1021/jacs.3c12581
Chemical Communications
巻: 59 ページ: 8564~8567
10.1039/D3CC02361C
Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan
巻: 81 ページ: 692~705
10.5059/yukigoseikyokaishi.81.692
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1027/