研究課題
本課題ではバクテリアの緊縮応答シグナルとして発見されその後共同研究者の増田が後生生物にも存在していることが見出されたグアノシンテトラリン酸(ppGpp)結合タンパク質を同定するための分子ツールの化学的合成法の開発と、ppGppの機能解析の研究を行った。また、分子ツールの合成法としてはすでに開発した2'保護グアノシンに対するリン酸化と続くピロリン酸化を鍵反応とするppGpp合成法を利用した新規合成法を開発した。具体的には、2'水酸基に保護基の代わりにリンカーを結合させたグアノシン誘導体の3', 5'-水酸基をリン酸化に成功した。次いでこの中間体を利用してリンカー部分にクリックケミストリーで光活性化可能なビオチンリンカーを導入する条件を検討し、ppGppのアナログでもあるpGpに非架橋ビオチンリンカーが結合した化合物を得ることに成功した。さらに、この合成ルートを最終目的である3', 5'水酸基にピロリン酸化を有する誘導体に応用し、目的とするppGppに光架橋型ビオチンリンカーの合成に成功した。また、昨年度までに緊縮応答を完全に欠失した多重シロイヌナズナ変異体の作出に成功し、その変異体の解析を行なったところ、窒素欠乏条件下においてサリチル酸を高蓄積し、細胞死が過剰に引き起こされることを見出した。この表現型はオートファジー欠損植物体のそれと類似していることに着目し、今年度さらなる解析を進めたところ、オートファジーを誘導するタンパク質のTORによるリン酸化を介して緊縮応答が制御される可能性が高いことや、葉緑体の緊縮応答がサリチル酸を介した核遺伝子の発現制御を誘導することがわかった。。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant and Cell Physiology,
巻: 00 ページ: pcad136
10.1093/pcp/pcad136