研究課題/領域番号 |
21H02091
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
泉 正範 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80714956)
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研究分担者 |
横井 彩子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (10760019)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イネ / 老化 / 光合成 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
作物の収量・品質は光合成の効率に強く規定されるが、葉が展開してから枯れるまでの一生を見ると、葉緑体が分解される老化現象が起こることによって光合成活性は徐々に低下していく。本研究では、この葉緑体分解系を穏やかに抑制することで、老化過程の光合成を高く維持できるか、それに伴い、イネの収量・品質を向上させられるか、を特にゲノム編集技術を活用し調査することを目指した解析を行っており、R3年度は以下のような進展が得られた。 葉緑体を局所的に分解するオートファジーに必要な遺伝子、及び植物ホルモンサリチル酸シグナルにかかわる遺伝子について、CRISPR/Cas9技術によるゲノム編集イネの作出・整備を進めた。前者については、3種の変異を持つイネ系統を整備し、解析に足る量の種子を得ることができた。また、解析に用いる系統にCRISPR/Cas9用の組み換えコンストラクトが残存していないことを確認した。後者のサリチル酸シグナルに関する遺伝子については、形質転換で得た世代、およびその次世代について変異部位の確認を行い、第一エキソンに変異を持つ系統を2種、プロモーター領域に変異を持つイネ1種について、遺伝分離でCRISPR/Cas9のコンストラクトが抜け落ちた個体を単離することができた。このゲノム編集株の解析を補完する目的で、同遺伝子の過剰発現株、発現抑制株について、解析に必要な種子を確保し、隔離温室での栽培試験を開始した。前者のオートファジー関連遺伝子のゲノム編集イネについては、先行して得ていた種子の一部を、隔離温室において栽培し、二酸化炭素同化速度、光合成関連タンパク質の変動、バイオマス・収量の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究遂行に必要なゲノム編集イネについて、安定した変異を持つ個体、種子の獲得に成功し、一部については光合成活性、生産性の評価を開始した。今後、目的としていた解析を本格化させる基盤が整ったと言えるため、本計画はおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画はおおむね順調に進展していると判断しているため、計画の大きな変更なく引き続き研究を推進していく予定である。隔離温室を用いた生産性評価は年に一度しか行えないため、使用する系統、一連の解析予定、解析項目を注意深く計画しながら解析を進めていく。
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