動物の分布に及ぼす土壌の影響は主に植物が介在した間接的なものとして考えられてきたが、本研究から土壌が昆虫の分布を直接的に規定することが初めて明らかとなった。また、昆虫の分布は気候条件や餌や捕食者相で規定されると考えられてきたが、昆虫生態における土壌の重要性を発見した。これらのことは土壌学および昆虫学の盲点であり、どちらの学問においても新しい学術領域を切り拓く意義を有する。また、害虫自身ではなく、害虫の生存や繁殖に重要な土壌微生物を制御するという新たな害虫防除技術コンセプトが得られ、殺虫剤の使用量を削減して環境保全性と農作物の持続的安定生産の両立に貢献できる可能性が見出された。
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