研究課題/領域番号 |
21H02105
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
谷 明生 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00335621)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Methylobacterium / ランタノイド / メタノール代謝 |
研究実績の概要 |
Methylobacterium属細菌は植物葉上の主要な共生細菌である。植物が放出するメタノールをメタノール脱水素酵素(MDH)で酸化して利用する。MDHにはカルシウム依存のMxaFとランタノイド(Ln)依存のXoxFの二種類が存在する。XoxFはLn存在下でのみ発現し活性化する、生物学上初めて見つかったLn依存酵素である。XoxFは幅広いグラム陰性細菌ゲノムにコードされ、メタノール資化能を付与することから、Lnは微生物における“見過ごされてきた重要元素”である。本属細菌においてLnに依存した遺伝子発現調節機構に関する遺伝学的情報は蓄積してきている。しかし、それら分子が生体内でどのように機能しているかという情報は断片的である。本研究では本属細菌をモデルとして、Lnの細胞内への取り込みからメタノール代謝系の遺伝子発現に至る過程について、それらの系を構成する分子間の相互作用に注目してtwo-hybrid法や近接標識法等を用いて解析し、機能未知な分子を含めた各分子の代謝系における位置・役割を特定し、メタノール代謝系のLnによる制御分子機構を明らかにすることを目的としている。 ペリプラズム内でランタノイドを結合して構造変化するランモジュリンタンパク質(LanM)について、詳細な生化学的検討を行った。LanMとLanM遺伝子近傍に存在するCaskinと名付けた遺伝子産物タンパク質とが相互作用することを見いだした。この相互作用はLn非存在下でのみ起こる。さらにMxaFの遺伝子発現に必要な二成分制御系のセンサーであるMxbDのリガンド結合ドメインとも結合することが分かった。このことからペリプラズムにおいてLn濃度に応じたタンパク質間の相互作用が存在し、そのシグナルがMDH遺伝子発現に関与していることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MxbDM二成分制御系の欠失株はメタノール生育能を失うが、思いがけず生育を回復する変異株が多数得られ、そのゲノムリシーケンスの結果MxaFプロモーターに変異が見つかっている。予定とは異なる発見ではあるが、二成分制御系が関与するプロモーター領域の確定に結びついた。
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今後の研究の推進方策 |
ペリプラズムで起こるLn認識と二成分制御系から細胞内へとシグナルが伝わる経路が見えてきたため、今後細胞内で制御タンパク質がMDH遺伝子プロモーターのどの部分に結合しMDH発現を制御するか今後解析する。
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