今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに研究を遂行する。 P. protegens CHA0が有するアミノ酸走化性センサーはCtaA,B,C,Dの4つである。これら走化性センサーのリガンド結合ドメインは70%以上の相同性があるものの、それぞれが感知し得るアミノ酸の数は異なり、CtaAは19種類のアミノ酸を感知するのに対し、CtaB,C,Dは2~7種類のアミノ酸しか感知しない。V. choleraeのアミノ酸走化性センサーMcpNで明らかにされたアミノ酸のアミノ基およびカルボキシル基に結合するアミノ酸残基を標的に、CtaCのD172(McpN)に相当するA残基をDに置換する変異を導入したところ、CtaCの野生型が認識できないArgを感知できるようになった。Argのどの部位が感知に関わるかを推定するために、類似体であるオルニチン、シトルリン、アグマチン、グアニジンに対する走 化性応答を調べた結果、グアニジノ基、カルボキシル基が走化性シグナル発生に必須であることが分かった。この結果を基に、九州大学のスーパーコンピューターを用いて、モレキュラードッキング分析を試みたが、コンピュータのスペックの不足で分析を完遂できなかった。 2023年度はさらにCtaCの変異体を構築し、それらのアミノ酸に対する走化性応答を調べることで特性化する。そして、九州大学のスーパーコンピュータに代えて京都大学のスーパーコンピュータを用いてモレキュラードッキング分析を行い、複数アミノ酸認識の機構について考察する 。
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