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2022 年度 実績報告書

環境細菌の走化性センサーはどのようにして多種類・多数のアミノ酸を感知できるか?

研究課題

研究課題/領域番号 21H02106
研究機関広島大学

研究代表者

加藤 純一  広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (90231258)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードケモセンサー / 物質認識機構 / 走化性
研究実績の概要

Pseudomonas protegens CHA0のCtaBが感知できるアミノ酸数は4つのみである。10以上のアミノ酸を感知できるVibrio choleraeのMlp37でアミノ基との結合に関与するD172に対応するCtaBの残基はAlaであることから、この残基をAspに置換したCtaB変異体を作成したところ、本来CtaBが感知できないArgを感知できるようになっていた。Argの感知に関わる部位を特定するために、Arg類似体としてオルニチン、アグマチン、シトルリン、グアニジンに対する走化性を調べた結果、Argのアミノ基、カルボキシル基、グアニジノ基がCtaB変異体による感知に関与していることが分かった。19アミノ酸を感知するCtaAはArgも感知できる。そこで、Arg感知の感度を比較すべく、種々の濃度に対するCtaA及びCtaB変異体のArg感知能を調べた。その結果、CtaB変異体のArgに対する感度はCtaAよりも高いことが分かった。CtaBのA172をGlu、His、Arg、Lysに置換した変異体を作成したが、いずれもArgを感知できなかった。このことからCtaB-D172変異体がArgを感知するのには、負チャージを持った側鎖が必須で、さらに鎖長がC2であることが示唆された。2つのアミノ酸を感知するCtaCもD172に相当する位置のアミノ酸残基はAlaである。そこで、CtaBと同様にAspに置換したCtaC変異体を作成した。このCtaC変異体はArgを感知できなかった。このことから、CtaBとCtaCのD172に相当する残基以外のアミノ酸残基を比較検討すれば、CtaB変異体のArg感知能の獲得のメカニズムを理解できるのではないかと考えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Arg感知能を獲得したCtaB変異体の特性化は順調に進んでいる。CtaB変異体の特性化ならびにCtaC変異体の特性化から、Molecular Docking Modelingに適した材料がそろってきた。ただ、Molecular Docking Modelingがまだ順調に行うことができない。CtaA、CtaBの野生型およびオリジナルのリガンドを用いたり、すでにX線構造解析がなされているMlp37を使ってModelingを習得し、Molecular Docking Modelingを行っていこうと考えている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りに研究を遂行する。
P. protegens CHA0が有するアミノ酸走化性センサーはCtaA,B,C,Dの4つである。これら走化性センサーのリガンド結合ドメインは70%以上の相同性があるものの、それぞれが感知し得るアミノ酸の数は異なり、CtaAは19種類のアミノ酸を感知するのに対し、CtaB,C,Dは2~7種類のアミノ酸しか感知しない。V. choleraeのアミノ酸走化性センサーMcpNで明らかにされたアミノ酸のアミノ基およびカルボキシル基に結合するアミノ酸残基を標的に、CtaCのD172(McpN)に相当するA残基をDに置換する変異を導入したところ、CtaCの野生型が認識できないArgを感知できるようになった。Argのどの部位が感知に関わるかを推定するために、類似体であるオルニチン、シトルリン、アグマチン、グアニジンに対する走
化性応答を調べた結果、グアニジノ基、カルボキシル基が走化性シグナル発生に必須であることが分かった。この結果を基に、九州大学のスーパーコンピューターを用いて、モレキュラードッキング分析を試みたが、コンピュータのスペックの不足で分析を完遂できなかった。
2023年度はさらにCtaCの変異体を構築し、それらのアミノ酸に対する走化性応答を調べることで特性化する。そして、九州大学のスーパーコンピュータに代えて京都大学のスーパーコンピュータを用いてモレキュラードッキング分析を行い、複数アミノ酸認識の機構について考察する
。

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公開日: 2023-12-25  

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