研究課題
これまでに成政酒造(富山県南砺市)の蔵付きバクテリアであるKocuria TGY1120_3株およびTGY1127_2株を用いて、清酒酵母との相互作用による日本酒の味への影響について研究を行ってきた。清酒酵母の菌株の違い、麹の違いなどによって、蔵付きKocuriaの日本酒の味への影響が異なることを明らかにした。本年度は、白木恒助商店(岐阜県岐阜市)の蔵付きバクテリアBacillus A-10株およびPriestia B-12株を用いて、異なる清酒酵母AK25株、K901株、K1401株、K1801株との麹溶液における共培養実験を行い、培養中の糖度と酸度の経時的変化および最終産物である日本酒における味(渋味、渋味刺激、苦味、苦味雑味、塩味、酸味、旨味、旨味コク)への蔵付きバクテリア添加の影響を味認識装置TS-5000Z(インテリジェントセンサーテクノロジー)によって測定した。その結果、共培養中における糖度と酸度は蔵付きバクテリアの添加によって有意な差を示しておらず、蔵付きバクテリアの添加が清酒酵母のアルコール発酵に大きな影響を与えていないことを強く示唆した。日本酒の味における蔵付きバクテリアの影響は渋味および苦味においては4つの異なる清酒酵母における有意な差は検出しなかったが、それ以外の6つの味においては蔵付きバクテリアの添加による清酒酵母間における違いを検出した組み合わせがあった。Bacillus A-10株とPriestia B-12株における添加による味への違いも明らかにした。例えば清酒酵母K901株において塩味への影響はBacillus A-10株添加では増加、Priestia B-12株添加では減少した。本実験により清酒酵母と蔵付きバクテリアの菌株の組み合わせによって日本酒の味への影響は異なることを明らかにし、その影響のレベルにも大小があることを示した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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