研究課題/領域番号 |
21H02126
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中嶋 正敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50237278)
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研究分担者 |
岡田 和馬 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 推進室長・技術支援センター長等 (10547722)
岡田 憲典 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20312241)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カラムナー樹形 / レトロポゾン / ジベレリン / 異所発現 / ジオキシゲナーゼ |
研究実績の概要 |
本研究では、2つのアプローチ①・②を展開している。本年度は主に、①に軸足を置いて検討した。①:DOX-Co本来機能の解明では、ジベレリンへの水酸化能が認められたリンゴカラムナー樹形の原因遺伝子産物DOX-Coは、本来はジベレリンとは関わりのない全く別の生理機能を持つと想定されることから、主に生化学的手法を用いた解明を狙っている。その目的達成のため、DOX-Co特異的阻害能を有する化合物が利用できれば、その投与に伴って生じる植物体内の変化の解析が大きな足掛かりになると捉えている。同時に、DOX-Co特異的阻害化合物を選抜する試験系の構築にも着手するにあたり、材料供給面において第一にリコンビナントDOX-Coタンパク質の大幅な収量増加を図る必要があった。そのため、種々の大腸菌発現系を試して収量に与える影響を検討した。加えて、化合物選抜系の候補として幾つかの手法の導入を図り、操作性・コスト面・ハイスループット効果等の観点から最終的に1つの方法に絞って系を整備している。また、リンゴ以外の種からDOX-Coと同じ機能を持つ分子種が存在すれば、より短期間で機能解明に至れるとの想定で、候補遺伝子産物を調製するための準備も進めている。②:リンゴ由来の発現制御機構の解明およびジベレリン生合成酵素の性状解析では、リンゴカラムナー品種におけるDOX-Co遺伝子発現機構解明の足掛かりとして、当該遺伝子発現に関与し得る転写因子等の候補を慎重に精査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①では、DOX-Co特異的阻害能を有する化合物選抜試験系を構築する上で、リコンビナントDOX-Coタンパク質の収量増加を図る必要があった。そのため、種々の大腸菌発現系を試して検討した。加えて、化合物選抜系の候補として幾つかの手法の導入を図り、操作性・コスト面・ハイスループット効果等の観点から最終的に1つの方法に絞って系を整備している。また、リンゴ以外の種のDOX-Co相同遺伝子について、系統樹的に注目される数種の植物に着目して、リコンビナント調製用のコンストラクト整備をほぼ終えた。②では、リンゴRNseq等の解析データから部位・時期的に当該遺伝子の発現に関与し得る転写因子等の候補を精査中である。加えて、DOX-Coによるジベレリン代謝物がすでに解析済みのシロイヌナズナジベレリン生合成酵素に与えた影響と同様であるか検討するために必要となるリンゴジベレリン生合成酵素の候補遺伝子も、リンゴRNseq等の解析データを利用して選抜中である。
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今後の研究の推進方策 |
①:DOX-Co本来機能の解明については、DOX-Co特異的阻害化合物を探索する。化合物ライブラリーの中から酵素反応阻害度をモニターすることにより候補化合物をスクリーニングする。DOX-Co酵素活性の阻害効力を認めた化合物については、ジベレリンを基質とする他の関連酵(ジベレリンの生合成酵素や代謝酵素など)の反応阻害活性を調べ、DOX-Co特異性が認められたものを選抜する。また、コンストラクトの整備を終えたリンゴ以外の種のDOX-Co相同遺伝子は、先行して検討した大腸菌発現系を活用してリコンビナントを調製する。 ②:リンゴ由来の発現制御機構の解明およびジベレリン生合成酵素の性状解析については、リンゴカラムナー品種「ウイジック」に特異的に発現する遺伝子情報の中から、転写因子候補や関連する制御タンパク質因子等を対象として、リンゴ部位別(根、葉、茎頂等)の発現状況を調べる。加えて、齢の異なる個体の各組織を比較材料に据え、発現量変化に着目して絞り込みを行う。選抜したリンゴ由来のジベレリンの生合成酵素遺伝子については、発現系を整備する。
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