研究課題
本研究では、大きく分けて2つのアプローチ①・②を展開してきた。①:リンゴDOX-Coの本来機能の解明では、前年度構築のGC-MSを用いて行うDOX-Co阻害能を有する化合物の選抜を展開して、化合物ライブラリーからの本格的なスクリーニングを実施した。依然としてスクリーニング自体は継続して行う一方で、選抜した阻害剤候補化合物を対象として、GA 3-oxidaseやGA 2-oxidaseなどDOX-Coと同様にジベレリンを基質に用いる生合成・代謝に関わるリコンビナント酵素群の調製を図り、その酵素活性に対する化合物添加の影響度を調べることにより阻害作用の選択性について評価した。また、リンゴ以外の植物体からDOX-Coと同機能を持つ分子種の検出が奏功し、当該酵素をコードしている遺伝子の発現特性、すなわち時期や部位に関する情報を得た。②:リンゴDOX-Co遺伝子の発現制御機構の解明およびリンゴ由来ジベレリン生合成酵素の性状解析では、すでに実施済みであるRNAseqデータを参照して絞り込んだ「DOX-Co遺伝子異所発現に関与し得る転写因子候補」を対象として、タンパク質コード領域に関する情報を収集し、関連候補を選抜した。その結果、発現上昇している因子としては、bZIP型、NAC型、bHLH型転写因子が、また、発現減少しているものとしてはMYB型、ERF型、WRKY型転写因子が複数個リストアップできた。また、発現上昇を示す遺伝子の中には、植物のストレス応答や病害抵抗性を司る植物ホルモン・ジャスモン酸の生合成遺伝子が多く含まれており、活性型ジベレリン内生量の減少との関係性が示唆されたことから、上述のカラムナーで変動した転写因子に制御されるターゲットとして、リンゴDOX-Co遺伝子と共にジャスモン酸関連の生合成・代謝遺伝子について、今後、実験的な検討の余地がある。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biosci Biotech Biochem
巻: 88 ページ: 63-68
10.1093/bbb/zbad142