研究課題
Cryo-EM(電子顕微鏡)によるコレラ菌NADH-ユビキノン酸化還元酵素(NQR)の構造解析を2021年からスタートし、2022年には酸化型酵素の構造を明らかにすることに成功し(2.5~3.1オングストローム分解能)、論文発表することができた。しかし、この構造モデルにおいては、コファクター間の距離が29オングストローム以上と極端に長い箇所が二箇所あり(NqrFサブユニットの2Fe-2SとNqrD/Eサブユニットの2Fe-2Sの間、および、NqrD/Eサブユニットの2Fe-2SとNqrCのFMNの間)、この間の電子移動は不可能である。このことから、NQRのターンオーバー中は構造変化を伴ってコファクター間の距離が短縮されている可能性が示唆された。そこで本年度は、還元型NQRの構造解析に注力した。NADHを添加してコファクターを還元したNQRを調整しcryo-EMに供したが、酸化型構造との違いは認められなかった。反応液中のNaイオンの影響を酸化型および還元型で調べたが、Naイオン有無で大きな構造変化は認められなかった。さらに、NqrCまたはNqrBからFMNが欠損した変異酵素についても酸化型および還元型で構造解析したが、違いは認められなかった。酸化型酵素の構造解析ではユビキノンの結合部位を明らかにすることができなかった。そこで、イソプレン側鎖部に光反応性基とクリック用アルキンを有するユビキノンプローブを合成し、光親和性標識を実施した。しかし、多数の標識ペプチドが検出されピンポイントで結合部位を絞り込むことができなかった。この理由として、ユビキノンプローブの結合親和性が低いために、複数の箇所を標識したためと考えられる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
コレラ菌NQRのcryo-EM構造をNature Communicationsに発表した(2022年)。
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https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2022-07-27