研究課題/領域番号 |
21H02141
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片倉 喜範 九州大学, 農学研究院, 教授 (50264106)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腸脳相関 / エクソソーム / カルノシン / GABA |
研究実績の概要 |
エクソソームを介して腸脳相関を活性化する食品を探索し、同定する。そのために、食品等の示す脳機能改善効果が、血中を流れるエクソ ソームに依存しているかを各種試験により検証する。マウスに脳機能改善効果を誘導する食品として、脳機能改善食品(カルノシン、 GABA、アスタキサンチン、レスベラトロール等)および運動模倣剤(AICAR)を用いる。マウスにこれら食品投与を行った後、血中のエクソソームを単離する。in vitro試験系により、これら エクソソームの神経細胞活性化能(神経突起伸長・ミトコンドリア活性化)を、イメージングサ イトメーター(IN Cell Analyzer 2200:現有設備)を用いて評価する。さらに、in vivo試験系に より、加齢/アルツハイマーモデルマウスへこのエクソソームを静脈注射し、記憶機能改善効果(モリス水迷路テスト、恐怖条件付けテスト)を検証する。 さらに、エクソソームを介して臓器間相互作用(筋脳、腸皮膚)を活性化する食品を探索し、同定する。細胞の共培養系を用いて、上記細胞間相互作用を活性化する食品を同定するとともに、その活性がエクソソームにより担われている食品の探索・同定を行う。さらにその後、それぞれの食品による細胞間相互作用活性化に寄与するエクソソームとそこに含まれるmiRNAの同定、さらにはそれらmiRNAの標的遺伝子群により活性化するパスウェイの同定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各種食品処理した腸管細胞が分泌するエソソームに含まれるmiRNAのプロファイリンが終了し、miRNAの分布と食品の機能性との関係を解析することができる環境が整いつつある。特に腸脳相関、筋脳相関、腸皮膚相関を活性化する食品処理により分泌されたエクソソームに含まれるmiRNAのプロファイリングに成功しており、miRNAの分布から食品の機能性を推定することが可能となりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
多面的解析により、臓器間相互作用活性化エクソソームの機能を規定するmiRNAを同定する。 1) 血中エクソソーム/脳内miRNA解析:エクソソームを介して脳機能を改善する食品を、加齢/アルツハイマーモデルマウスに投与した後、血中 エクソソーム中のmiRNAと脳海馬内のmiRNAのマイクロアレイ解析を行い、発現変動miRNAを同定する。さらに、インフォマティクス解析を行う ことで、発現変動miRNAにより影響をうけるパスウェイや遺伝子群の同定を行い、腸脳相関を規定するパスウェイと遺伝子群の同定を行う。 2)血中エクソソーム/臓器内miRNA解析:エクソソームを介して臓器間相互作用を活性化する食品を、マウスに投与した後、血中 エクソソーム中のmiRNAと臓器内のmiRNAのマイクロアレイ解析を行い、発現変動miRNAを同定する。さらに、インフォマティクス解析を行う ことで、発現変動miRNAにより影響をうけるパスウェイや遺伝子群の同定を行い、臓器間相互作用を規定するパスウェイと遺伝子群の同定を行う。 3) 腸管由来エクソソーム解析:各種細胞/オルガノイドに、エクソソームを介して脳機能を改善する食品を添加し、分泌される腸管由来エクソソームを単離する。これらエクソソームの神経細胞活性化効果をin vitro試験系により、さらに脳機能改善効果をモデルマウスを 用いたin vivo試験系により検証することで、エクソソームの腸脳相関活性化効果を検証する。さらに腸脳相関活性化効果を示すエクソソーム 内miRNAのマイクロアレイ解析から、発現変動miRNAを同定する。上記研究と同様に、インフォマティクス解析を行うことで、発現変動miRNAに より影響をうけるパスウェイや遺伝子群の同定を行い、腸脳相関を規定するパスウェイと遺伝子群の同定を行う。
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