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2022 年度 実績報告書

ヒト味覚・嗅覚受容体応答の網羅的解析によるフレーバープロファイリング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21H02144
研究機関静岡県立大学

研究代表者

伊藤 圭祐  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40580460)

研究分担者 加藤 竜司  名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (50377884)
伊藤 創平  静岡県立大学, 食品栄養環境科学研究院, 准教授 (70372836)
中野 祥吾  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (80748541)
寺田 祐子  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80767632)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード味覚 / 嗅覚 / 受容体 / フレーバー
研究実績の概要

本研究の目的は、実用的なヒト味覚・嗅覚受容体応答の新規網羅的解析法の開発である。ヒトにおける食品フレーバーの感知は、約440種類の味覚・嗅覚受容体のうち、どの受容体がどれだけ活性化したのかという応答パターンによって決定されることから、全受容体を対象とした応答の全体像を明らかとする必要がある。従来のヒト味覚・嗅覚受容体解析法のほとんどは1つの受容体と1つのフレーバー成分との対応関係を解析するものであるが、本研究で開発する新規解析法は、1つのフレーバー成分に応答する全440種類のヒト味覚・嗅覚受容体応答を同時かつ定量的に解析できる点が特徴である。
これまでに我々は、全受容体発現細胞群を用いた網羅的解析を可能とするため、ヒト味覚・嗅覚受容体応答細胞を同一プラットフォームで、GFP蛍光によって可視化できるレポーターアッセイ系を構築した。受容体の活性化により増加した細胞内セカンドメッセンジャーがシグナル伝達を引き起こし、活性化した転写因子が検出用ベクター中の応答エレメントに結合することで、下流にコードされたレポータータンパク質が発現することを原理とするものである。さらにセルソーターを用いた細胞分取技術を組み合わせることで、ヒト味覚・嗅覚受容体の網羅的解析が可能となり、柑橘類の主要香気成分であるリモネンなど、実際にいくつかの食品サンプルについての網羅的受容体解析データを取得することに成功した。また、分注ロボットを用いた、発光測定を原理とする嗅覚受容体の網羅的解析システムも併せて開発した。本系では、ヒト嗅覚受容体をHEK細胞に発現させ、受容体活性化後に細胞内で増加するcAMPを改変型ルシフェラーゼによって検出することで、受容体応答を発光量として定量解析できる。これらの成果により、食品フレーバープロファイリング法の確立に向けた基盤技術が整備された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナの影響で一部のプラスチック製品が入手困難、値上がりとなっているが、全体としては当初予定していた研究計画通りに進捗しており、特に大きな問題はない。

今後の研究の推進方策

今後は、開発した味覚・嗅覚受容体の網羅的応答評価技術を食品フレーバープロファイリングに応用し、様々な食品を判別できるAI(機械学習モデル)の開発を試みる。具体的には、各種食品から香気成分を抽出し、全400種類のヒト嗅覚受容体応答を網羅的に解析する。なお、続いて進める機械学習はPythonのライブラリであるscikit-learnのclassificationアルゴリズムでの解析を検討するが、サンプルの選択は最終的なAIの質に直接影響するため、受容体解析データの取得はAI開発と並行して進める。また、食品の種類によって顕著に応答に差のある受容体の候補が見出されてきた後は、解析対象の受容体を絞る代わりにデータ数(素材サンプル数)を増やすことで、より精度の高い判別モデルの開発に繋げる。さらに並行して、受容体応答感度の向上を目指した受容体発現量の改善、アクセサリー分子の最適化なども進めていく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Collection of data variation using a high-throughput image-based assay platform facilitates data-driven understanding of TRPA1 agonist diversity.2022

    • 著者名/発表者名
      Y. Terada, K. Tanaka, M. Matsuyama, M. Fujitani, M. Shibuya, Y. Yamamoto, R. Kato, K. Ito.
    • 雑誌名

      Applied Sci.

      巻: 12 ページ: 1622

    • DOI

      10.3390/app12031622

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 味・香りの感知メカニズムと食品開発への応用2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤圭祐
    • 学会等名
      第13回岐阜薬科大学機能性健康食品研究講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 味機能ペプチド解析への合成ライブラリーの活用2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤圭祐
    • 学会等名
      2022年度日本農芸化学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト化学感覚受容体の解析による食品フレーバー設計の試み2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤圭祐
    • 学会等名
      香り・におい・ガスセンシング研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 製菓用香料素材に含まれる香り成分によるヒト甘味受容体の活性化2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木知依, 寺田祐子, 伊藤圭祐
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第69回大会
  • [学会発表] 香りプロファイリングに活用できるヒト嗅覚受容体の網羅的気相応答評価系の開発2022

    • 著者名/発表者名
      内村美里, 勝山響, 尾城一恵, 寺田祐子, 伊藤圭祐
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第69回大会
  • [学会発表] 香料素材の時系列官能プロファイルを活用する新規マスキング技術の開発2022

    • 著者名/発表者名
      増田みゆ, 寺田祐子, 中野祥吾, 伊藤圭祐
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第69回大会
  • [学会発表] 分子生物学とケモインフォマティクスを組み合わせたTRPA1アゴニストのスクリーニング2022

    • 著者名/発表者名
      田中健二郎、寺田祐子、松山南、藤谷将也、澁谷正俊、山本芳彦、伊藤圭祐、加藤竜司
    • 学会等名
      第68回日本薬学会東海支部大会
  • [学会発表] 全ヒト嗅覚受容体の気相系解析による牛肉香のプロファイリング2022

    • 著者名/発表者名
      内村美里、尾城一恵、寺田祐子、伊藤圭祐
    • 学会等名
      2022年度日本農芸化学会大会

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公開日: 2023-12-25  

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