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2022 年度 実績報告書

細胞核内のアクチン繊維によるゲノム機能制御のメカニズム解明と応用展開

研究課題

研究課題/領域番号 21H02151
研究機関東北大学

研究代表者

原田 昌彦  東北大学, 農学研究科, 教授 (70218642)

研究分担者 堀籠 智洋  東北大学, 農学研究科, 准教授 (10771206)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード細胞核 / クロマチン / 核内アクチン / テラヘルツ光
研究実績の概要

生命活動に必須なゲノム機能の制御の構造基盤として、細胞核内のクロマチン構造や核内配置が知られている。アクチンとアクチン関連タンパク質によって構成されるアクチンファミリーについては、以前は細胞質での機能を中心に解析が行われていたが、細胞核での機能解析は遅れていた。我々は、アクチンファミリーが、細胞核内でクロマチン構造変化や核内配置において重要な役割を果たしていることを見出してきた。さらに我々は、遺伝子発現やDNA損傷修復に核内アクチンが関与していることを示している。本研究では、遺伝子発現制御とDNA損傷修復における、核内アクチン繊維とクロマチンの相互作用メカニズムを明らかにし、合成二重環状ペプチドやテラヘルツ光を核内アクチン繊維に作用させることで、ゲノム機能制御の人為操作技術の基盤を確立することを目的としている。これまでの出芽酵母や培養細胞を用いた解析によって、ヒストンバリアントH2A.Zが導入されているゲノム領域と、核内アクチンのクロマチン結合領域での重複が観察されていた。さらに、培養細胞にテラヘルツ光を照射することで、細胞質のアクチン繊維形成が促進されること、また細胞周期の細胞質分裂の際に、アクチン収縮管の脱重合が抑制されて細胞質分裂が抑制されることなどが示されていたが、培養細胞に抗がん剤などを作用させてDNA二重鎖切断を誘導させた状態でテラヘルツ光を細胞に照射することによってDNA損傷修復を促進させる効果があること、アクチン重合促進薬剤でも同じ効果が観察されることも示された。これらの観察結果は、核内でゲノム機能に重要や役割を占める核内アクチン繊維をテラヘルツ光により人為制御できる可能性を示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでにも、細胞周期の細胞質分裂の際に、アクチン収縮管の脱重合が抑制されて細胞質分裂が抑制されることなどが示されていたが、培養細胞に抗がん剤などを作用させてDNA二重鎖切断を誘導させた状態でテラヘルツ光を細胞に照射することによってDNA損傷修復を促進させる効果があること、アクチン重合促進薬剤でも同じ効果が観察されることが示されるなど、新たな知見が得られている。

今後の研究の推進方策

これまでにもゲノム機能制御におけるアクチンの重要性を示しているが、テラヘルツ光による核内アクチンの人為制御可能性を示すことができたため、このような現象をさらに詳細に解析する。さらに、このような現象の分子メカニズムについても解析を進める。

  • 研究成果

    (22件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件)

  • [雑誌論文] PIP2-Effector Protein MPRIP Regulates RNA Polymerase II Condensation and Transcription2023

    • 著者名/発表者名
      Balaban C, Sztacho M, Antiga L, Miladinovic A, Harata M, Hozak P.
    • 雑誌名

      Biomolecules

      巻: 13 ページ: 426

    • DOI

      10.3390/biom13030426

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Near-field sensor array with 65-GHz CMOS oscillators can rapidly and comprehensively evaluate drug susceptibility of Mycobacterium.2023

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi S, Yamashige Y, Hosoki R, Harata M, Ogawa Y.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 3825

    • DOI

      10.1038/s41598-023-30873-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 食・農領域での次世代放射光利活用の推進2023

    • 著者名/発表者名
      原田昌彦, 高山裕貴, 日高將文
    • 雑誌名

      Microoptics News

      巻: 41 ページ: 23-28

  • [学会発表] クライオX線タイコグラフィの開発と生体試料への応用2024

    • 著者名/発表者名
      高山裕貴、原田康生、吉田翔庸、中迫雅由、岩城美奈、牧田蒼生、木浪悠太、尾間由佳子、堀籠智洋、原田昌彦
    • 学会等名
      第37回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
  • [学会発表] FUSの液-液相分離に核内アクチン繊維が及ぼす影響の解析2024

    • 著者名/発表者名
      西間木胡桃、藤井健太郎、堀籠智洋、高山裕貴、原田昌彦
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
  • [学会発表] フッ素系不活性溶媒による大腸菌の鉄取込み亢進と増殖促進2024

    • 著者名/発表者名
      細木 亮輔、井澤 克秋、山重 貴久、川田 晃士、日高 將文、尾間 由佳子、菊池 正二郎、瀬戸山 寛之、廣沢 一郎、原田 昌彦
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
  • [学会発表] 農学・生命科学領域でのナノテラス活用に向けた取り組み2024

    • 著者名/発表者名
      原田昌彦
    • 学会等名
      有機・高分子材料研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Fluorocarbon solvents enhance growthand reduce oxidative stress in liquid culture ofbacteria/yeast2023

    • 著者名/発表者名
      Hosoki R., Kawada K., Yamashige Y., Izawa K., Kikuchi S., Ogawa Y., Harata M.
    • 学会等名
      27th Wilhelm Bernhard Workshop
    • 国際学会
  • [学会発表] 線虫へのニッケル曝露による生体機能への影響解析2023

    • 著者名/発表者名
      相田 茉優、堀井 菜摘、高山 裕貴、原田 昌彦
    • 学会等名
      線虫研究の未来を創る会 2023
  • [学会発表] 出芽酵母のリボソームRNA遺伝子安定性と核膜孔および老化の関係2023

    • 著者名/発表者名
      蓜島万紘、原田昌彦、堀籠智洋
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
  • [学会発表] 出芽酵母の核膜孔におけるリボソームRNA遺伝子安定化メカニズムの解析2023

    • 著者名/発表者名
      岡田大和、原田昌彦、堀籠智洋
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
  • [学会発表] 相同組換え修復におけるホモロジー・サーチの動態解析2023

    • 著者名/発表者名
      牧田蒼生、原田昌彦、堀籠智洋
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第56回研究報告会
  • [学会発表] Visualizing homology search during DNA double strand break repair2023

    • 著者名/発表者名
      牧田蒼生、原田昌彦、堀籠智洋
    • 学会等名
      Yeast and Life Sciences
  • [学会発表] 早老症モデル細胞における核内アクチン繊維と液-液相分離2023

    • 著者名/発表者名
      西間木胡桃、高橋祐人、原田昌彦
    • 学会等名
      2023年度日本農芸化学会東北支部若手の会
  • [学会発表] 細胞核内のアクチン繊維がFUSタンパク質の液-液相分離に与える影響の解析2023

    • 著者名/発表者名
      西間木胡桃、藤井健太郎、堀籠智洋、高山裕貴、原田昌彦
    • 学会等名
      日本農芸化学会東北支部 第158回大会
  • [学会発表] 出芽酵母の核膜におけるリボソーム RNA 遺伝子の 安定維持機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      岡田大和、蓜島万紘、原田昌彦、堀籠智洋
    • 学会等名
      日本農芸化学会東北支部第158回大会
  • [学会発表] フッ素系不活性溶媒添加による微生物・細胞増殖促進メカニズム解析2023

    • 著者名/発表者名
      井澤克秋, 細木亮輔, 山重貴久, 川田晃士, 日髙將文, 尾間由佳子, 菊池正二郎, 小川雄一, 瀬戸山寛之, 廣沢一郎,原田昌彦
    • 学会等名
      日本農芸化学会 東北支部第158回大会
  • [学会発表] 早老症モデル細胞における核内構造:核内アクチン繊維と液-液相分離2023

    • 著者名/発表者名
      西間木胡桃、高橋祐人、原田昌彦
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 食・農領域における放射光のポテンシャル:ナノテラス利活用に向けた東北大学農学研究科の取組2023

    • 著者名/発表者名
      原田昌彦
    • 学会等名
      岩手大学放射光利用セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 食・農領域での次世代放射光利活用の推進2023

    • 著者名/発表者名
      原田昌彦,高山裕貴,日髙將文
    • 学会等名
      第166回微小光学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 次世代放射光施設NanoTerasuの概要と、食・農領域での活用に向けた取り組み2023

    • 著者名/発表者名
      原田昌彦
    • 学会等名
      6大学共催フォーラム第13回
    • 招待講演
  • [学会発表] 線虫H2A.Zの機能:誘導的ノックダウンと放射光X線による解析2023

    • 著者名/発表者名
      原田昌彦
    • 学会等名
      遺伝研クロマチン研究会2023
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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