研究課題/領域番号 |
21H02164
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 教授 (20377790)
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研究分担者 |
兒島 孝明 名城大学, 農学部, 准教授 (40509080)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | イネ / 根系形成機構 / 転写因子 / 突然変異 |
研究実績の概要 |
OUR1転写因子の標的遺伝子の発現・機能解析 ゲノムライブラリーから標的転写因子の結合配列をin vitroで選択的に濃縮する手法と高速DNA Sequencingを組み合わせたgSELEX-Seq法、およびRNA-seq法により、OUR1転写因子の標的候補遺伝子として側根形成に関して重要な役割を果たすことが知られている転写因子やオーキシン輸送体を見出した。そこで、ゲルシフトアッセイにより解析した結果、これらの遺伝子発現はOUR1転写因子によってダイレクトに制御されていることが示唆された。また、Yest one-hybrid法により解析した結果、OUR1は抑制型の転写因子であることが判明した。従って、環境の変動により本転写因子が分解されることで、その標的遺伝子群の発現量が増加し、根系形態の可塑性が発揮されるものと考えられた。
OUR1のパラログ遺伝子の標的因子探索とその機能解析 イネゲノム中には、OsbZIPのパラログ遺伝子が2つ存在する。このうちの一つは根における発現パターンがOUR1遺伝子と同様であったため、両者間での機能重複性が示唆された。そこで本パラログ遺伝子に着目し、機能欠損株の作出と特徴解析、OUR1タンパク質との相互作用性を解析した。その結果、前者では特に特徴的な表現型は観察されなかったため、現在はour1との二重変異体を作出している。また後者では、両タンパク質の相互作用が確認され、これらのタンパク質はヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の制御を行っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、ゲノムライブラリーから標的転写因子の結合配列をin vitroで選択的に濃縮する手法と高速DNA Sequencingを組み合わせたgSELEX-Seq法等により、OUR1転写因子の標的候補遺伝子の検出に成功している。これらの候補遺伝子中には、側根形成に関して重要な役割を果たすことが知られている転写因子やオーキシン輸送体が存在しており、そのため更なる解析により、OUR1転写因子下流での詳細な側根形成分子機構が明らかになるものと期待できる。また、OUR1とそのパラログである転写因子の相互作用性が確認され、今後はこのヘテロ二量体による下流遺伝子の制御機構も含め、詳細な解析が可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
①OsbZIP転写因子の標的遺伝子の発現・機能解析 他の標的候補遺伝子に着目し、 ひきつづき 1) 他のシス候補配列へのOUR1転写因子の相互作用性の検証、および 2) 機能欠損株や本シス候補配列への変異挿入株の作出とその根系形質の精査を通して、OUR1下流の制御機構を明らかにする。 ②OUR1とパラログである転写因子の標的因子探索とその機能解析 次年度はひきつづき本パラログ遺伝子に着目し、各単独変異体や二重変異体を用いたRNA-Seq解析による下流因子の探索を通し、両者間の機能の同異性を明らかにする。 ③ 根系改良のみを可能にする新たな変異遺伝子の創出と有用系統の育成 上記により判明した根系の可塑的反応機構に関与する遺伝子群に注目し、種子稔性へは悪影響を及ぼすことなく、根系の発育のみを促すことができる新規変異遺伝子の創出を試みる。
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